【インタビュー】ペーター・サガンを変えた高地トレーニング

 

史上初となる世界選手権3連覇の偉業を本人の視点からまとめた自伝My World(10月4日刊行)。そのプロモーションの為、イギリスを訪れたペーター・サガン(28歳/スロバキア)が、インタビューにて毎年米国で行っている高地トレーニングなどについて語った。

 

ーー自転車ロードレースというスポーツが、君にとって簡単すぎると言う人たちがいる。君の自転車の一体感(操作技術)をもってすれば、簡単だと言えなくも、他の選手より容易だとは言えるんじゃない?

ペーター・サガン:「それは僕の特徴にあると思っている。僕はピュアスプリンターではないし、クライマーでもない。僕の特徴は、多少の山岳だったらクライマーについて登れることだ。そうすると彼らとスプリント勝負は簡単になるよね?

純粋なスプリンター相手だと僕は2位、3位、4位、5位になってしまう。彼らの方が単純なスピードは早いからね。まぁ、たまに勝つけどね。笑

 

 
 
 
 
 
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昨年末、股割りをするサガンの動画がSNS上で話題を呼んだ。数年前に比べ、飛躍的に科学的・効率的になってきたトレーニングへと話題は移った。

ーーここ10年ほどでトップ選手たち(の競技への姿勢)が、より真面目になったと思うんだ。高地で生活をしたり、トレーニングに費やす時間が増えていったり。数年前の選手よりも遥かに厳しい生活を送っていると思う。そういった変化への実感はある?

サガン:ああ、もちろん。ここ7,8年での変化を感じている。自転車競技はそれ以前よりプロフェッショナルなスポーツになったと思う。より多くの選手がジムでのトレーニングし始めている。それに加え「正しい食事」を摂ったり、それにレースも増えたからね。1月にオーストラリアでシーズンが始まり11月の中国で行われるレースまである。シーズン自体が長くなった。

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それに高地トレーニングも増えた。そうすれば血液中の赤血球が増えるからね。そこでの練習をした後に降りれば、筋肉中の酸素量が増える。

ここ数年で高地トレーニングは総合系の選手にとってメジャーな方法として確立したが、スプリンターやワンデーを狙う選手たちにとっては効果が薄いと考えれられていた。

実際5年ほど前にチーム・スカイが同様な合宿をワンデー系の選手で行い、失敗している。

でもそれには最低3週間は高地で練習しなくてはならない。つまり、その分家を離れるということだ…

僕の場合はクラシックの後にツール。その後に世界選手権と、つまり一年で合計2ヶ月半を高地で過ごすことになる。

サガンは高地トレーニングを2016年シーズン序盤から取り入れ、その成果は直後のクラシックで現れた。それまで長らく勝てなかった5大モニュメントの一つロンド・ファン・フラーンデレン(ツール・デ・フランドル)で優勝したのだ。

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サガン:チームではシーズン序盤にネバダ(米国)に行って厳しいトレーニングをする。そこには全てが揃っているんだ。良い部屋や、ジム、プールなどがね。サウナ、ジャグジー、マッサージまである。でもそこはすごく寒くて、(練習のため)山を降りるのに車で1時間もかかるんだ。ホテルに戻ってくるのは、夕方の6時とか。もう1日が終わっているよね。とても厳しい期間だ。

サガンが行っている高地トレーニングとは、2,000mを越える高地で生活し、トレーニングの時だけ平地に降りる。これによりトレーニング効率が高まり、持久力や有酸素能力が向上するのだ。

ツアー・オブ・カリフォルニアの時もユタで高地トレーニングを行う。こっちはもっと楽しいけどね。街に娯楽があるから。

ーーパークシティのことでしょ。そのに家を持っているんでしょ?

え?ないよ。いつも借りているよ。

ーー数年前に取材にいったときに、現地の人に君の別荘があると聞いたのだけど…

その話は僕も聞いたことあるよ笑

参照:The Cycling Podcast