「フルームはドーパーではない」と、ジャーナリストが確信していた理由

2018年のツール開幕まであと5日と迫った7月2日、正式にクリス・フルーム(33歳/イギリス)のサルブタモール問題が解決、ドーピング違反ではないことが自転車ロードレース界に広く伝えられました。

その発表の1ヵ月ほど前、フルームがジロで総合優勝を果たした頃に、アメリカ最大の自転車ロードレースメディア『VeloNews』の欧州特派員アンドリュー・フッドが、「フルームはドーピングしていない」という主張をポッドキャスト内でしていたので、翻訳しました。

なお、今回の翻訳は↓のエントリの続きになっています。コチラを読んでからの方が、流れが分かりやすいかと思います。

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アンドリュー・フッド:
まず、現在のファンはクリス・フルームや(いまの)自転車ロードレース界をクリーンなスポーツだという目で見ている。過去にあった自己輸血や、EPOを完全に排除した状態だとね。現在のプロトンがその通り(ドーピングが全くない)だという前提で考えてみた時、クリス・フルームがプロトンで唯一ドーピングをしているのだろうか?

確かにクリス・フルームはドーパーと思えるほど強い。

だけど、もし彼だけがドーピングしていて、他の選手がクリーンだったら…今そんなリスクを犯す論理があるだろうか?

僕は長く自転車ロードレースに携わっているのだけど、レース外でチーム同士は競争を繰り広げている。だけどこのスポーツの歴史上、一度たりとも「一つのチームだけ(特定の何かを)行っていて、その他のチームは(それを)やっていない」という状態になったことはない。

自転車ロードレース界にEPOが持ち込まれた1990年代、それを最初に使ったチームは他から「一体あいつらに何があったんだ!?」と1〜2シーズン訝しがられたが、すぐに他のチームが同じものを使い始めた。自己輸血の時代も全く同じことが起こった。その後生体パスポートがプロトンをかき回し、選手たちは真っ当なレースの仕方を忘れてしまった。組織的なドーピングを行えなくなってしまったんだ。そしてチームは優位性を得るため、正当な方法を探しはじめた。トレーニングや栄養管理、技術的なこと…とにかく合法な方法だ。またその中にはTUEやコルチコイドの悪用など、グレーな部分の拡大もあるだろう。サルブタモールもこの中に入るのかな?

しかし、断言できることは、どのチームもチーム・スカイと全く同じことを実践できていない。

なぜだろうか?

この問題の本質は、スカイがMPCC(世界的反ドーピング倫理運動)に加盟しないことがあるだろう。加盟しているチームとそうでないチームでは、ルールが異なる。それが自転車ロードレースのアンフェア(不平等)を作っている理由だと思う。



例えばランスの時代に、他の選手はみんなランスと同じ薬を使っていた。それでもその中に勝者が生まれていた。そして、みんなランス一人を最大の悪魔だと罰した。

そして今、フルームが勝ちまくり一人悪魔になっている。だけど、僕はフルームが他の選手が行っていないことをしているとは全く思えない。間違いないのことは、ランスの時代より汚い手は使っていないということだ。

フレッド・ドレイラー(VeloNews編集長):
僕は、フィネストレ峠を含む80kmを単独で逃げれるだけの効果がサルブタモールにあるとは到底思えない。また、サルブタモールには、逃げを容認してくれて、後ろでライバル選手が追わずに集団で待つという効果もあるのか?

ーーそれにレース後のドーピング検査で陽性反応が出ないようにしなければね。ステージを勝てば100%の確率で検査がされるのだから。

フレッド・ドレイラー:
もしかしたら、実はみんな自転車にモーターを仕込んでいて、ホテルでは血液バックが飛び交っていたということが、5年後に発覚するのかもしれない。

…だけど、いまはそんな時代じゃないんだよ。

アンドリュー・フッド:
クリス・フルームはツールに出場すると言っている(*収録時では)。開幕までにこの問題が解決するかもしれないが、僕はそうならない可能性(解決しない)の方が圧倒的に高いと思っている。解決の過程にはたくさんの法律の専門家が関わっているんだ。彼らを巻き込むと大体のことは早くは進まない。だけど、フルームは出場する気でいる。彼は公式にも、オフレコで僕個人にも「何の罰則もなくツールに出場する」と言い切った。「何も間違ったことはしていないし、何のルールも違反していないから」ってね。

 

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翻訳部分は39:00〜