事件が起こったのは「クリテリウム・デュ・ドフィネ」最終日の第7ステージ。二つ目の1級山岳「セジー峠」の下りで、マイヨ・ジョーヌを着ていたゲラント・トーマスがこの日、二度目のパンク。
しかし、不運にもAG2Rがその手前10kmから集団をコントロールしていた。
自転車ロードレースの”不文律”に順ずるならば、集団はトラブルに見舞われたリーダージャージを待たなければならない。
だが、AG2Rはそのまま集団を引き続けた。
結果的に、スカイはアシストを使いながら約15kmで集団復帰することができた。
問題はその後だった。
集団に戻ってくることができたトーマスは、先頭を引いていたAG2Rのロメン・バルデの元につき、一言かけた。
ゲラント・トーマス:
「やっとのことで(集団に)戻ってきたら、イェーツやダン・マーティン、ユンゲルスが僕に同じこと言ってきたんだ」
「パンクがあって、それが選手たち無線で伝えられたのにも関わらず、彼ら(AG2Rの選手)がスピードを上げた、ってね」
「だから前に行って一言 ”ありがとう” と伝えたんだよ」
ーーここでAG2R側の意見も聞いてみよう。
AG2R監督ヴィンセント・ラヴェニュ:
(パンク地点までの)10kmも集団を引いていたんだ。待つ理由はない。そんな論理はない。
ロメン・バルデ:
(パンク後に)速度は上げていない。同じペースを維持していただけだ。もちろんゲラントにも説明したが、ステージ勝利のために懸命に走っていただけだよ。
ゲラント・トーマス
「恨むなんてしないよ。でも、忘れもしない」
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