記者も、選手も、スタッフも、みんなが彼の噂をする。エガン・ベルナル 21歳

Text and Translated by Sorato(@If So Ara

 

まさか、ワールドツアーチーム1年目の選手がスカイのリーダーになるなんて。

 

「キンタナ2世」というメディアがつけた肩書が、彼の活躍にしたがい、使うに憚られ始めている。

みんなが彼のことを、彼の言葉を聞きたがっている。ここ最近、記事やレース中継、ポッドキャストで「いま注目の若手選手は?」という話題になると、記者も、選手も、何人もが彼の名前を口にする。

 

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エガン・ベルナル、21歳。

 

周りから”イーガン”と呼ばれる彼の存在が、あまりにも圧倒的だからだ。

 

いまに集中したい。わからない未来より、今日のレースを考えたいんだ

ーーここまでの自分の活躍に驚いている?

ベルナル:ああ。なんたって(ワールドツアーチーム)1年目だし、スカイは世界で一番大きい自転車チームなのだからね。こんな良い選手が沢山いるチームで、リーダーとして総合争いができるなんて。今年は去年よりも良くなっている。いろんな変化があったからね。チャベスとトレーニングができたのもその一つ。とにかく素晴らしいよ。

ーー昨季と比べると、信じられない位置にいると思うのだけど、どう?来年、再来年のことを考えるとワクワクしてくる?

ベルナル:未来より、いま現在のことに集中したいんだ。たくさんの人から「将来はツールやブエルタ、ジロの優勝だ」と言われるのだけど、僕はまだ出場すらしていない。だからそんなのはナンセンスだと思っているんだ。そんなわからない未来のことよりも、いま現在のことを、いま出場しているツアー・オブ・カリフォルニアのことを考えたい。これはいつも気をつけてる事なんだ。未来より今日のこと、ってね。

 

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4月24日に開幕した『ツール・ド・ロマンディ』の主役は、総合優勝に輝いたログリッチ(ロットNLユンボ)ではなく、第3ステージの山岳個人TT(9.9km)で2位に4秒差をつける圧倒的な力を見せつけ、総合2位に輝いやベルナルだった。
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また、約一ヶ月前の『ボルタ・ア・カタルーニャ』で鎖骨と肩甲骨を骨折、それからの復帰戦という、決して万全ではない中だったことも、その原石の活躍に多くの光を当てる原因となった。

 

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ーー君はとても良いクライマーで、TTも速い。自分の弱点はどこだと思う?今後改善すべきところは?

ベルナル:スプリントかな……って冗談、冗談。
タイムトライアルかな、それに登りも距離によっては弱い部分がある。長いレースの最後の登りはまだ辛く感じるからね。

今年がロード3年目で、その前はマウンテン・バイクをやっていたのだけど、この二つは全然違う競技なんだ。まだロード選手として順応できていない。自分がまだマウンテン・バイク選手だと感じることがある。特にタイムトライアルとかね。(弱点は)タイムトライアルかな。現状では。

 

チームメイトが僕を守ってくれるんだ

ーー集団の中で走るのには慣れた?マウンテンバイクからの転向だと、ポジション取りとか不慣れな部分があると思うけど?

ベルナル:アンドローニ(・ジョカットーリ)の時のレースは大変な思いをした。集団の中からこぼれ落ち、いつもチームカーの後ろを走っていたんだ。
でも、コーナーや下りでは、マウンテンバイクをやっててよかったと実感することが多いよ。だけど、まだ集団の中で走るのに苦労しているよ。

ーースカイの強い選手たちが守ってくれるから安心じゃない?

ベルナル:そうだね。(スカイとして)数レースを走ったけど、ロマンディは特に良かった。最後のステージでは、ルーク・ロウやG(ゲラント・トーマス)、カストロビエホが僕の為に走ってくれたからとても走りやすかった。ラスト1kmなんてルーク・ロウとGが前を引いて、僕のために安全な位置を確保してくれたんだ。

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ーー僕が君の名前を知ったのは去年の夏頃だったと思う。いまやトップ選手の仲間入りをしたわけだけど、君のことを知らない人に自己紹介してもらえるかな。自転車に乗っていない時の君はどんな人なの?

ベルナル:普通の人間だよ。自転車に乗っていない時間は、家族と一緒にいるのが好きかな。本をたくさん読んだり……

ーーどんな本?

ベルナル:えーっと、スペイン語だと”ノエラ”っていうんだけど、英語だとなんて言うんだろ……

ーー小説(novel)?

ベルナル:そうそう。

ーーフィクション?

ベルナル:違う、物語(ドラマ)だよ。あと、色んなことについて書くことが好きかな。別に内容は決まっていなくて、本当にあらゆることについて書いてる。

ーーなるほど。ところで英語が上手いね。すごく上手い。

ベルナル:全然ダメだよ。まだ全然。

ーーどこで英語を学んだの?

ベルナル:3年前、アンドローニに入る前に6ヶ月ほど勉強したんだ。でもチームの共通語がイタリア語だったから英語をすっかり忘れてしまった。笑。だからいま必死に思い出してるところなんだ。でも、最近は英語を喋ろうとするとイタリア語が邪魔してきて困ってるんだよ。笑

ーーじゃあいま三カ国語を話せるってことだね。スペイン語とイタリア語と英語。

ベルナル:スペイン語とイタリア語は上手いんだけど、英語は話すのがすごく難しい。聞くのは問題ないんだけどね。

(インタビューを聞いていたスカイのチーム・スタッフ):

あなたの英語はとても上手。非英語圏の選手では一番よ。

ベルナル:ありがとう。ありがとう。

ーー実は君に英語でインタビューできるのか不安だったんだ。だけど、すごく上手くて安心したよ。

ベルナル:ありがとう。

 

”COLOMBIA’S NEWEST SENSATION”

Competing against Quintana, Uran and Sergio Henao at “the Colombia Oro y Paz (2.1)”

 

ーーコロンビアのどこ出身なの?

ベルナル:スィパキラというボゴタ(首都)の近くだよ。いまは彼女と一緒に住んでる。たまに弟もくるんだ。

ーー弟も自転車に乗るの?

ベルナル:乗るけど、まだ12歳だからね。練習の後は一緒に映画を観に行ったりしてる。トレーニング後はベッドの上で休むのではなく、なるべく普通の人と同じよう生活を家族と過ごすように心がけてるんだ。

ーーいまでもマウンテンバイクには乗ってるの?

ベルナル:乗ってるけど、ホントたまにかな。乗る時は現役の選手たちと走るのだけど、昔みたいに下りで自信がないから、あまり乗らないようにしてる。(オフシーズンの)11月、12月になれば乗りたいね。

ーーツアー・オブ・カリフォルニアの後の予定を聞かせてもらえるかな。

ベルナル:まだわからないけど、ドーフィネ、その後コロンビアで一週間休んでから、ブエルタの準備に入るかもしれない。まだはっきりと決まっていないけどね。でも行って苦しむだけなんてことはしたくないから、コンディションを見て決めると思う。そうじゃなければ来年かな。

ーーそうだね。まだ若いのだし。なんで君と話したかったかというと、ここまでの素晴らしい結果に比べ、君はまだ若く、ロードレースにも順応しきっていないなかで、まだね。でも結果は驚くべきことなんだけど…

ベルナル:そうだね。あまり自分の若さについて気にしていないんだ。繰り返しになるけど、色んな人から「君はツールで、ジロで、ツールで優勝できる」と言われたのだけど、あくまで今日に集中したいんだ。みんなはそれを「ロマンディで勝利した」から言っているのだろうけど、その時点でその勝利は過去なわけだし。だから今日のこのインタビューでは今日のことだけを答えて、明日の平坦ステージのことは答えられない。とにかく今日を走るだけなんだよ。

 

Text and Translated by Sorato(Twitter
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Translated from CyclingTips 
Inspired by milieu

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5月14日よりアメリカで行われているツアー・オブ・カリフォルニアにて、2つのステージ勝利をあげたベルナルは現在、総合優勝に王手をかけている。
www.cyclowired.jp

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