「フルームはモスコンのメンバー入りに反対したらしいな」ランス・アームストロングによる2018年ツール第16st評

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ランス・アームストロング:ハロー!『THE MOVE』にようこそ!アメリカは今日テキーラの日なんだ。テキーラといえば、この番組のスポンサーであるパチュロン・テキーラだ!なんて光栄な日に放送することが…

ーーちょ、ちょっと、ちょっと待って。ねぇランス。リスナーは見えないかもしれないけど、君のそれは…何?

ランス:これか?この番組を運営するチーム『WEDU』の帽子だよ。われわれのWebサイトで購入可能だ。

ーーサングラスは?

ランス:昨日、休息日だったろ?アイオワに妻と娘とワンデーライドをしに行ったんだ。3万人もの参加者と一緒にな。しかもこの番組があるから日帰りだったんだぞ?だから目がもう酷いことになってしまってな。俺も昨日ジョージと一緒に顔面マッサージ受ければよかったな。なぁジョージ?

ジョージ・ヒンカピー:反論の言葉もない。

ーーちょっとその顔面マッサージが気になるね。どんな感じだったの?

ヒンカピー:奥さんに連れられていったから僕の意思ではなかったっての強調しとくよ。でも…すごく良かったよ。

ランス:今日、ジョージの第一声が「僕の顔、いつもと違くない?」だったんだ。

「…別に?なんで?」って答えたら、小声で「顔面マッサージ受けたんだ」って。

なんて反応がほしかったんだよジョージ!

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ーー今日のステージ序盤に起こった出来事から始めようか。フランスの最も大きな大会なだけあって、ツールでの抗議運動には長い歴史があるんでしょ?

ランス:ああ。サッカーW杯の決勝戦でもあったな。今日は、道が大きな牧草のブロックで塞いだそうだな。そして最初の報道では、抗議していた奴らが選手に向かって催涙スプレーを吹きかけたとあったが、実際は、抗議を止めさせた警察官たちが使用したペッパースプレーだったらしい。それが30人ほどの選手にかかってしまった。

ーーその後、20分ほどレースは中断されたそうだね。

ヒンカピー:被害を受けた選手が30人ってのは多かったね。

ランス:選手はその日一日おかしかっただろうな。

ヒンカピー:そうだね。間違いない。

ーー抗議といえばベルナール・イノーなんでしょ?

ランス:そうだ。ツールではなくパリ〜ニースなのだが、是非みんなには「イノー(Hinault) パリ〜ニース(Paris-Nice)」で検索して観てみてほしい。カッコいいぞ。当時のイノーは。



ーーそしてジルベールの落車についてはどうだい?

ランス:俺は何度だって言うぞ。みんな聞いているか?クラウチング・スタイル(モホリッチ・スタイル)は止めるべきだ。

ヒンカピー:僕はジルベールの映像を観たけど、クラウチングなんてしていなかったよ?少なくとも100m手前までは。

ランス:だったら120mまでしていたのだろう。

ヒンカピー:いや、ただ単に内側のラインを取りすぎちゃっただけのように見えるけどね。ジルベールは世界で最もバイク操作技術が高い選手の一人だけど、ツール第3週目で、しかも逃げていたから、という理由しかないよ。

ランス:いや、していた。確かにクラウチング・スタイルの速さは証明済みなのかもしれないが、止めるべきだ。

ヒンカピー:選手以外は真似するべきではないというのは賛成だよ。だけど自転車レースはリスクを取るスポーツだよ?僕は当然の走り方だと思うけどね。

ランス:だが、MVPはジルベールだな。あの下から登ってくる姿を見たら、選ばざるを得ない。

ヒンカピー:それに関しては異論はないよ。その原因がクラウチングっていうのは違うと思うけどね。

ーーアダムの落車については?

ヒンカピー:たぶんあの時、無線で監督のマット・ホワイトから「後ろからアラフィリップが迫っている」と言われたんだろうね。総合争いから脱落して、今ツールでチームに初勝利になるところだった。そういったプレッシャーが、あのコーナーのミスに繋がったんだろう。

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ーー今日の中継ではブライルスフォード(スカイGM)のインタビューが流れていたね。

ランス:ああ。ヤツは今回のツールの観客のリアクションを「フランスの文化的な振る舞い」と表現したんだ。

ーースカイへのブーイングについて言ってるんだよね?

ヒンカピー:あとツバを吐かれたり、フルームにパンチしようとしたりもね。

ランス:さらにコイツは「それならツールをフランスチームのみで行えばいいじゃないか」って言いやがった。

デイブ、黙ってろ。バスの中に引っ込んで、黙ってろ。

ヤツ自身はレース中はバスの中にいられるが、選手は観客の中を走らなければいけないんだぞ?

頭がおかしくなっちまったのか?全く意味がわからない。

ヒンカピー:スカイは、50億円以上の資金があって、1〜2人の広報担当者がいるはずだ。ブライルスフォードはその担当者の意見を無視しているか、あるいは早くデイブをクビにした方がいいね。フランス人からの印象を悪くする作用しかない発言だよ。意味がわからない。

ランス:コイツ自身は常に安全な所にいるのだろう?選手と違って?

ヒンカピー:そうだね。記者会見は自分の感情に従って話す所ではない。どうやれば観客を落ち着かせて、チームと選手を守ることができるかを考えた発言をするべきなのに…

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ランス:しかも、その記者会見はイタリア人のジャンニ・モスコン(24歳/スカイ)の暴力問題について話すべき場だったはずだ。

あのパンチはなんだ?ハエを追い払ってるみたいだったぞ?

ヒンカピー:しかも前に色々やらかしている選手だしね。

ランス:俺の情報筋によると、クリス・フルームはジャンニ・モスコンのメンバー入りに反対したらしい。だが、デイブ・ブライルスフォードに気に入られていたから入ったそうだ。

そして、6ヶ月間、人種差別問題によって自主謹慎をしている。しかもそれをツイッターで庇った選手(ライヘンバッハ)を次のレースで落車させたんだ。*結果的には証拠不十分のお咎め無し

そんな選手と契約を結べるデイブ・ブライルスフォードの気がしれない。

ヒンカピー:モスコンという選手はプロトンにいるべきでないよ。ツールの第三週ともなれば、選手みんながストレスを抱えている。ムカつくことをされたら、他の方法で怒りを表現すればよかったんだ。

ジャンニ・モスコンは本当に才能あふれる素晴らしい選手だ。しかし、自分の感情をコントロールできなければ、このスポーツに彼の居場所はないよ。

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・一部を抜粋し、回を重ねるごとに意訳の割合が増えながらも訳した音源はコチラ↓