「カヴェンディッシュはもう…」ランス・アームストロングによる2018年ツール第7st評

今大会で最長距離となる231kmのレースを制したのは、昨年パリの勝者でもあるディラン・フルーネウェーヘン(25歳/ロットNLユンボ)。ガビリアやサガン、デマールといった名だたるスプリンターを抑えての見事な勝利だった。

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ーー今日の第7ステージの話に行く前に、昨日の第6ステージのトム・デュムランの話をしよう。彼には20秒の処罰が与えられた。フィニッシュまで残り5kmの辺りで前輪のパンク、その後、集団復帰するのにチームカーを風よけに使ったことにより20秒が総合タイムに加えられた。

ランス・アームストロング:パンクで1分、さらに20秒を失った。

俺は(UCIによる)この判断に反対だ。

ていうかまず、あのタイヤ交換は世界で一番遅かったんじゃないか?ってぐらい手間取っていた。そして確かにチームカーを使い集団に戻ろうとしていたが、あれは自転車選手が普通にやることじゃないか?それで20秒は賛成できないな。

リスナーからのメールで知ったのだが、フグルサングが全く同じことしたのに何のお咎めもなかったらしいじゃないか。

ーー彼も落車して、チームカーに引っ張られて集団復帰したそうだね。

ランス:そのリスナーはオランダ人だった。当然だよな。デンマーク人は無罪で、オランダ人だけペナルティを受けたんだ。

だけど、このリスナーに言っておきたいことは「このスポーツに平等はない」ってことだ。




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それよりも、ツール・ド・フランスにミニ・クーパーが走ってることの方が驚きだ。ミニ・クーパーはチームカーにはなり得ない。

ーー風よけに使うのだったらもっと車高がある車の方がいいもんね。また、前回のツールからの変更点として、撮影した映像を公式に処罰の材料として用いることができるようになった。これは新しいルールだね。

ランス:じゃあフグルサングの映像はどこにあるんだ?

ーーそうだよね。でもなんでデュムランとサンウェブはチームカーを使う判断をしたんだろうか?このルールだって知っていたはずでしょ?

ラス:いや、チームカーを利用しなかったら、デュムランはもっとタイムを失っていたはずだ。しかし、それが総合上位の選手にのみ適応されたのは注目すべき点だろう。

ーー自転車ロードレースの美学の一つに「紳士協定」というものがあったよね?誰かが不可抗力で遅れたら、集団は待ってくれるというやつだけど…合ってる?

ランス:ああ。

ーーいまはその逆でペナルティを課している。

ランス:ああ。

ーーこれは…レースを面白くしているのかな?

ランス:わからない。自転車ロードレースというスポーツにおいて、UCIやASOの判断というのは、ダーツを投げるようなものだ(理にかなっていない)。こればかりは慣れるしかないな。矛盾は当たり前のように存在しているんだ。このスポーツにはな。

ーーなるほどね。これでようやく今日の第7ステージの話に移れる。

ランス:今日はつまらなかったな。退屈だった。

ーーフルーネウェーヘン(25歳/ロットNLユンボ)が勝ったね。

ランス:そうだな。だが、ヤツはフィニッシュ後、人差し指を口元に当てて「静かにしろ」のポーズをしていただろう?

ーーしていたね。

ランス:あれが誰に向けられているのが知らないが、だったら黙ってやる。何も語ることはない。

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ーーでもガビリアとサガンの間を縫うスプリントはすごかったでしょ?

ランス:まぁな。それよりもカヴェンディッシュだ。多くのリスナーからメールを貰っているんんだ。カヴェンディッシュの状態についてな。

確かにカヴェンディッシュは歴史上で最も素晴らしいスプリンターかもしれない。

だが、その時はきたのかもしれない。

俺はマーク・カヴェンディッシュが好きだし、いいヤツだが、これ以上のものは持っていないのかもしれない。

今日のスプリントでは4、5番手につけていた。そしてサガンが隣に来た瞬間、なぜだかカヴェンディッシュは踏むのを止めたんだ。映像を観返せばわかるのだが、身体が触れ合うような距離ではなかった。結果10位だったのだが、あそこでスプリントを止める理由はどこにもない。躊躇する理由がなにもない。

ーー接触あったようには見えなかったもんね。

ランス:そうなんだ。なにもないのに、ヤツは踏み止めたんだ。7年前のカヴェンディッシュだったらありえなかったことだ。「クソが!レンガの壁でも突っ込んでやる」という選手だった。しかし、いまはどうだ。

ーービビっちゃってるってこと?

ランス:ああ。完全にビビっている。

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ーー明日はフランス革命記念日だけど、どういう展開が予想されるかな?

ランス:フランス人の選手たちはバーテープをキツく巻き直してくるだろうよ。ガチガチにな。彼らにとっての7月4日(アメリカ独立記念日)みたいなことだからな。楽しみだ。

ーー君は7月4日に特別頑張って走ったりした?

ランス:するわけないだろ。この俺が。

 

また明日!

 

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