【翻訳】サガンのコーチが語る、世界選手権3連覇を可能にしたトレーニング

2017年ツール・ド・フランスでは6年連続ポイント賞は逃したものの、UCI世界選手権3連覇という大記録を成し遂げたペーター・サガン(28歳/スロバキア/ボーラ・ハンスグローエ)。そのコーチであるパティクシ・ヴィラのインタビューがサガンのトレーニングについて答えていたので、一部抜粋し訳しました。

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ーー いつからサガンをコーチしているの?

パティクシ・ヴィラ:2015年のクラシック*の後からだね。ティンコフ**のコーチをしていた時からだからもう三年になるよ。

*主に3月から4月にかけて行われるワンデーレース **2016年に解散したロシア籍チーム

ーー(指導前から活躍していた)サガンをコーチするのは大変だった?

すでに彼は年間25勝だった可能な選手だったから、初めは彼の言葉を聞き、理解することからはじめたよ。

ーー コーチから見て、サガンの凄さはどんな点にあるの?

こあまり知られていないことだけど、彼の強みは「自分の身体に起こっていることを把握できる能力」なんだ。身体がいまどういう状態で、必要なのは休息かトレーニングか、必要なのはどんな強度のトレーニングなのかを把握する能力だよ。だからコーチとしては仕事がスムーズに進むんだ。

ーー 強い個性とキャラクターを持つサガンへの指導は大変?

サガンは常にトレーニングや身体の状態に関する質問をしてくるんだ。そのため僕は全てのことに対し論理的な答えを用意しておかなくてはならない。この姿勢が偉大なチャンピオンである要因だと思うよ。

ーー 君をコーチとして信頼するまでどれぐらいの時間かかったの?

2015年の世界選手権に向けトレーニングを開始した4月からの六ヶ月間で僕らはお互いを信頼し合い、どうのようなコーチングをすれはいいのかがわかってきたんだ。

ーー サガンはパワーメーターと感覚、どちらに頼ってトレーニングしているの?

スプリントのインターバルなどでしか自分の出力を見ていないよ。パワーメーターは道具としては素晴らしいが、使い時を見極めないと数字に振り回されてしまう。数値は選手ではなくコーチが把握していれば良いと思ってるんだ。持久走ライドは心拍数を参考にしている。「250~300ワットを5時間」などではなく。

それに、多くのモータースポーツで使われているものの測定周波数が60Hzに対し、自転車のパワーメーターは4Hzと、あまり正確ではなんだ。それも使わない理由の一つさ。

ーー サガンの食事について聞かせてくれ。

彼はそれほど食事に気を使っていないんだ。チームで管理した正しいものを正しい分だけ摂取しているだけで、細かい制限はしていないよ。

ーー シーズンのプランは何を基準に立てているの

サガンには三つのピークがあるんだ。クラシックとツール、それに世界選手権だ。クラシックはミラノ~サンレモから始まりパリ・ルーベまで。その後はツールを走り、カナダの二連戦*に向けて持っていったピークをそのまま世界選手権につなげている。*『グランプリ・シクリスト・ド・ケベック』『グランプリ・シクリスト・ド・モンレアル』という9月に行われるワンデーレース
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ーー 年間のスケジュールを教えてくれる?

まず、11月15日からツアー・ダウンアンダー(1月下旬)*までが一区切りで、その後はクラシックまで高強度とスピードに重点を置いたトレーニングをしている。特に2月は一年を通して最も重要な練習を行っていて、三週目は週に32〜35時間を走るんだ。

*1月下旬に行われるオーストラリア・アデレードで行われるステージレース

ーー クラシックからツールに向けての調整内容はどう変わるの?

クラシックが終わった後は4~6日間を完全休養にあて、再開してからは筋力トレーニングやマウンテンバイクなどで身体だけでなく頭もリフレッシュさせる。こういったトレーニングを1~2週間行い、全体で3週間ほどかけて移行させている感じかな。

またクラシックとツールの練習の違いは上りだ。5月にあるツアー・オブ・カリフォルニアは、ツールに向け現在の状態や修正点を洗い出す ”第二のピーキング” を行うレースなんだ。

ーー ツールから世界選手権に向けては?

例年では間の期間が短いから急ピッチで調整するのだけど、今年はツールでの失格もあったから、世界選手権に向けて十分な時間が取れたんだ。だからそんなに急がなかったし難しくなかったね。

ーー どうやってサガンのような強いスプリンターにすることができたの?

サガンは飛び抜けて速い選手ではないと思っている。

生まれつき速い選手なのではなく”速くなることができた”選手だ。つまり彼はレースの最後で”勝つ技術”を身につけたんだ。

サガンのスピードの秘密は、筋力と脚を溜める能力にある。ゴール前まで脚を残すことで速い選手に勝っているんだ。また、選手としての特徴はトム・ボーネンに似てる。彼はキャリア初期に数多くのスプリント勝利をあげたけど、キャリア後半はいかに(集団の中で)耐えるかに注力していた。だからサガンを理解するためにボーネンのキャリアを参考にしているんだよ。

ーー 練習内容に”筋力トレーニング”が入っているけど、やはり選手にとって大事なの?

シーズン序盤から十分な筋力が付いている状態にするため11月~2月は週に2~3回、シーズン中はその維持の為に週1回の筋力トレーニングを行っている。

ーー 大会前に高強度の練習は行う?

ああ。大きなレースの前でも1~3分インターバルで短く高い刺激を伴う練習を行う。やり過ぎには注意しているけど、ある程度は必要なんだ。その分リカバリーの時間はたっぷりと取っているんだ。

ーー 何かアマチュアライダーへのアドバイスはある?

筋力トレーニングは時期と場所を選ばず行えるし、筋力を維持しなければ自転車でのパワーが落ちてしまう。だからジム・トレーニングも自転車競技の一部だし、特に高いワット数と高ケイデンスには不可欠だ。十分な筋肉と神経の組み合わせがなければ力を発揮することはできないからね。

僕の指導する選手は、一年を通して最低でも週一回はジムに通っている。筋力トレーニングは”筋肉を大きくする”のではなく”力効率の上げる” ために行うものなのだからね。

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