ロット・スーダルの”スピード・ジェル”は幻となってしまうのか?

ゲラント・トーマス(32歳/イギリス)の総合優勝で幕と閉じたクリテリウム・デュ・ドーフィネ

他を圧倒したスカイのチーム力、ダン・マーティンやアダム・イェーツといったツールを控える総合系選手の活躍など見所の多い大会となったが、ある意味話題を一番集めたのは、ロット・スーダルが使用した「スピード・ジェル」だった。

個人TTとチームTTの2回に渡って使用された

Embed from Getty Images
先頭を引く選手の脛(すね)部分に白い粒が確認できる

この事実が明るみに出たのは、第3ステージに行われたチーム・タイムトライアルから二日後の6月8日。取材に対しロット・スーダルのチームスタッフは「スピードジェル。空力抵抗を少なくするジェルだ」と、使用を認めた。

また、チームはプロローグの個人TTでの使用も認めており、プロローグを走る欧州TT王者ヴィクトール・カンペナールツ(26歳/ベルギー)の脚にも白いスピードジェルが確認された。

Embed from Getty Images
カンペナールツの左脚全体に写っている

その効果は定かになっていないが、このジェルを脚に塗ることで小さな球が付着し、それが気流を乱すことによって表面から空気を「はがす力」が働き、ぶつかった空気が後方で再合流する「渦領域」をより後方にずらすことができるため、空気抵抗(ブレーキ)が弱まるという理論だ。

比較されるスカイのスキンスーツ

Embed from Getty Images

この件で思い出されるのが、昨年のツール・ド・フランス第1ステージの個人TTでチーム・スカイの選手たちが着用したカステリ(Castelli)製のスキンスーツ

肩や腕に球状の突起をつけることで、いわゆるディンプル効果(ゴルフボールの凹みと同じ仕組み)を生み、空力性能を高めるとされている。

Embed from Getty Images
ドーフィネのプロローグで勝利したミハウ・クフィアトコフスキー(27歳/ポーランド)をはじめ、スカイの選手たちは同レースの個人TTとチームTTの両方でこのスキンスーツを着用している

UCIはスピードジェルを暫定的に使用禁止に

この件の発覚後、UCI(国際自転車競技連合)で技術不正の対策委員会を率いる元選手のジャン=クリストフ・ペロー氏は、ロット・スーダルに対しスピードジェルの使用停止を命じた。

また、その理由としては、UCI規定の以下の項目違反と考えられている。

”it is forbidden to wear non-essential items of clothing or items designed to influence the performances of a rider such as reducing air resistance or modifying the body of the rider.”

(能力向上の為に、空気抵抗を減らす、または選手の身体を変形させる目的で設計された衣類の着用や道具の使用を禁ずる)*抄訳

UCIはスピードジェルに関する正式な審査結果をツール開幕前にも明らかにするつもりと述べたが、この判断を受けロット・スーダルの監督マーク・サージャント氏は、

「もしUCIから満足のいく回答がなければ、ツールに(スピードジェルを)持ち込むこともあり得る」

と、話している。