「僕は吸入器を使わない」ティム・ウェレンスが語る”喘息”との付き合い方

ツアー・オブ・広州の初代総合優勝者であるティム・ウェレンス(26歳/ベルギー/ロット・ソウダル)が、フルームTUE問題に対する持論と、自転車ロードレース界における吸入器の使用実態について語っていたので、一部を抜粋し翻訳しました。

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プロの自転車選手として、いくつもの検査を受けてきた。

気管支に違和感のある時が、それを吸入器は7~8%も楽にしてくれるんだ。それに医者はこれが診断書の必要がなく使用できるのだと教えてくれた。

でも僕は「プロ選手は吸入器を使うべきでない」と思っている。吸入器によって楽になんてなりたくない。なぜなら一度吸入器を使い始めたら、それの無い生活が送れなくなってしまう。吸入器に頼りたくないし、プロ選手が使うことに強く反対する。でも、現実では多くの自転車選手が使っているんだ。もし皆が知ったら驚くだろう人数の選手が吸入器を持っている。ほんとに沢山の選手が、だ。それはトップ選手も例外じゃない。

僕が若手の頃に所属していたチームでは、7人中5人の選手が吸入器を持っていた。それを本当に必要とする人が使うなら分かるが、7人中5人となると話は変わってくる。

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物事には、グレーではなく、白か黒かハッキリとしていてほしい。みんなコルチゾン能力向上を目的にランスなどが使用していた、本来は気管支ぜんそく等の治療に用いられる薬)が薬物に肉体的な利益をもたらす(グレーなもの)だと知っている。自転車選手がそれを使うなんて、腹立たしい。ズルでしかない。もちろん体調が悪い時は使う以外の選択肢はないし、使うべきだと思っている。でも同時に”使用を控えるという選択(レースを棄権する)” も、可能なんだ。*昨年のツール・ド・フランスで、彼はアレルギー性の発熱があった際に TUEによるコルチゾン服用を拒否 し棄権している。

ほとんどの人が僕を(喘息の薬を拒んで)立派だと言ってくれる。でも、同時に “愚か者” と罵る人もいるんだ。「そんなこと気にせず(他の選手と同じ様に)使えばいいんだ」ってね。悲しい現状だ。

新しい世代の選手はこういった薬を使わなくなっていくだろう。禁止されていないからと言って自由に摂取して良いわけではない。使用はグレーであり適切ではない。選手の能力が向上するのだからね。

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TUEを利用し、薬を摂取する選手がいる現実がとても悩ましい。もちろん使わざるを得ない状況はあるだろう。だが、選択は選手それぞれに委ねられている。自分の胸に手を当て、良心によって決めることだ。だから僕は、いままで一度たりともTUEを利用したことはない。

この信念に後悔はないかって? そんなのはないよ。だって鏡の前の僕はいままで一度たりとも疑わしい薬物を、TUEを、吸入器を使うことなく、16回もの”潔癖な勝利”を上げてきたのだからね。

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*ウィレンスの発言や行動はプロトンの中でも極端な例であり、インタビュー記事では数値やファクトの裏付けまでは言及されていないません。