サガンの失格、リッチー・ポートの落車、ウランのギヤ固定での勝利など、フルームの3連覇以外で多いに盛り上がった2017年ツール・ド・フランス。その裏では、自転車業界にとってエポックな出来事が起こっていた。
この年のツールでステージ勝利を上げた全ての選手の自転車にシマノのコンポーネント(Di2-R9100系)が使われていたのだ。
【2017年ツール・ステージ勝者】
このシマノによる全ステージ制覇は、単純に出場チームの中でのシェアが圧倒的(18チーム中14チーム)であったからだが、先行した電動化の恩恵があったとはいえ、たった十数年前までは質の悪さに多くのチームから敬遠されていた日本のコンポーネントが、カンパニョーロやSRAMよりも豊富な資金と開発力によって、圧倒的な差をつける事態になったのは、驚くべきことである。
2018年はカンパニョーロが戻したが…
昨年(2018年ツール)は、キンタナ(キャニオン)とクリストフ(コルナゴ)の勝利によって、カンパニョーロがシマノになんとか一矢を報いた。しかし、シマノの圧倒的なシェア(18チーム中14チーム)と勝利数は、依然として変わることがなかった。
【2018年ツール・ステージ勝者】
2019年のコンポーネント事情
今シーズンは、AG2RがFACTORからエディ・メルクスに自転車メーカーを変えたのをきっかけにシマノからカンパニョーロに、そしてトレックはシマノからSRAMに、それぞれコンポーネントを変更した。
*赤字が昨年からの変更
これでカンパニョーロとSRAMがそれぞれ勢力を1チーム伸ばしたことになる。
今年のキーワードは”12速”
今シーズンの話題は、なんと言ってもカンパニョーロ(スーパーレコードEPS)とスラム(レッドeTap)が導入した12速化だろう。スプロケットが一枚増えたことにより、選手にとってより繊細なギヤ走行が可能になり、シーズン開幕戦であったツアー・ダウンアンダーでは、早速リドレーに乗るロット・スーダルのカレブ・ユアンが、カンパニョーロの12速で勝利を飾った。
また、いまだ未発表ながらもSRAMを使うトレックや、カチューシャ・アルペシンのキャニオンも注目を集めている。
選手はもちろん、使用する自転車のコンポーネントに着目して観るレースも、非常に興味深い。
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