今月14日にオーストラリアで開催されるツアー・ダウンアンダーが、ワールドツアーの復帰レースとなるリッチー・ポート(BMC)。その原因となった昨季ツール第9ステージでの落車について、地元紙『The Mercury』のインタビューに答えていたので、一部抜粋して訳しました。
翻訳したのはコチラの記事。
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「あの日の自転車は少しだけ問題を抱えていた。でも、プロ選手として許容できる程度だと思っていたんだ。」
「映像には僕のコース取りが悪かったように映っていたが、カメラが捉える直前に僕はブレーキを触っていて、既にリアがロックされてしまっていたんだ。だから一瞬の判断で(右側の)壁か、(左側の)草を選択するしかなかった。ブレーキを離し体制を立て直そうとしたが、すぐに次のコーナーがやってきて落車してしまったんだ。」
「正直、記憶が飛んでいる所もあるのだけど、救急に応ってくれた医療スタッフの素晴らしい対応はちゃんと覚えている。時速80kmの自転車が真横を通過する中を駆けつけて、僕を守るように囲ってくれたんだ。」
「救急車の中で”足の感覚はある?”と何度も聞かれ”大丈夫。ちゃんとあるよ。”と答えた。たぶん彼らにはもっと悪く見えていたんだろうね。」
「あの下りはまだ雪の残る5月に試走していたんだ。スピードが出る坂なのにテクニカルで危険だということはわかっていた。」
「試走後、父にその坂がいかに危険かについて話したんだ。父は昔の人だから僕よりよっぽど逞しい考え方をしているんだけど、そんな父でさえ僕に言ったんだ。『危険を犯すな。たかが自転車レースじゃないか。』ってね。」
「僕はリスクを好むタイプの選手ではないから、ファンとして山の頂上で選手たちがゴールするのを観ていたい。ああいった下りも自転車ロードレースの一つ、ファンを惹きつけるショーの一要素だからね。でも、ツール運営者が自分たちの息子や娘にあの危険な下り坂を走らせたいと思うだろうか?僕はそう思わない。」
「彼らはグランツールを日に日に難しく、危険にしている。僕には家で待つ妻がいて、故郷のタスマニアでは兄弟と両親が、何が起こったのかもわからず待っているんだ。」
(レースの翌日、ツールのディレクターであるプルードム氏が病院に訪れている。)
「2010年大会以来、久しぶりにツールをテレビで観戦した。レースは面白く新しい発見もあったが、パリの表彰式だけはどうしても観ることができなかった。」
「ツールのポディウムは大きな目標だ。」
「昨季はパリ~ニースのクィーンステージで勝利したり、ドーフィネではあの世界王者トニー・マルティンにTTで勝った。イギリス自転車協会から来たデヴィッド・ベイリーとの練習の成果が出たんだ。」
「ツールに幸運は求めない。不運でなければ十分だよ。あと数年は勝負できるだろうからね。」
「あと、正直いまだにダン・マーティンには巻き込んでしまって申し訳ないと思っている。彼はツールで絶好調だった。それなのにあの落車で背骨を骨折してしまったんだ。僕が尊敬する選手の一人であるから、なおさら心が痛むんだ。」
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