【ブチ切れ】棄権したユンボ・ヴィスマの選手が主催者に喝「感染対策がザルすぎる!!」

【訂正】記事公開当初、インタビューに答えた選手をステフェン・クライスヴァイクとしていましたが、正しくは同チームのヨス・ファンエムデン(35歳)でした。本文は訂正しております。すみませんでした!!!

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イタリアはコロナを知りませんか?

ジロ・デ・イタリア第1週目が終わり1回目の休息日にPCR検査が行われた。

その結果、選手ではステフェン・クライスヴァイク(ユンボ・ヴィスマ/33歳)とマイケル・マシューズ(サンウェブ/30歳)が陽性になり、無念にもレースを去ることになった。

クライスヴァイクとチームメイトのヨス・ファンエムデン(35歳)は、検査結果が出る直前にThe Cycling Podcast(リンク)のインタビューに答えており、今大会におけるコロナ感染対策の杜撰(ずさん)さを訴え、RCS Sport(ジロ主催者)とUCI(国際自転車競技連合)に対する不満をぶちまけた。

「感染対策は全く取られていない」

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チーム自体がジロから撤退することになってしまったユンボ・ヴィズマ

今大会における感染症対策は万全か?という質問に対し、ファンエムデンは「ない、全然なされていない。全くだ」と即答した。

「ジロが開催され、最初のホテルでは4、5チームが一緒に泊まっていた。しかしそれ自体は問題ではない。みんな(各チームは)どういう状況が分かっているし、自分たち自身で感染予防ができるからね。しかし、そのホテルにはモーターバイクの運転手やシマノのニュートラルサポートのスタッフなど(チーム以外の)一般の人たちも泊まっていたんだ。しかも全員が同じビュッフェで食事を取っていた。それは大きな間違いだ」

「そして(違うホテルに滞在する)ドゥクーニンク・クイックステップの選手も『こっちのホテルも全く同じ状況だ』と言っていた。その選手はダイニングホールの(様子を映した)動画まで送ってくれた。彼らはミッチェルトン・スコットと同じホテルに泊まっていたんだ。感染したサイモン・イェーツと一緒にね」

サイモン・イェーツは第7ステージ後にチームによる自主的なPCR検査で陽性が発覚。それによりレースを棄権している。

「個人的に言わせてもらえば、彼(イェーツ)がどこで感染したか明らかだ。(レースバブルの外にいる人たちと同じホテルに泊まるという判断が)間違いだったということだ。10チームがたった2つのホテルに滞在し、そこに関係者以外の客がいるなんて、良いわけがないだろう」

「感染者が1人(イェーツ)だけであることを祈るばかりだ。だが事態は悪化していくだろう」

ミッチェルトン・スコットはイェーツの陽性が分かった直後、選手とスタッフを検査したが全員陰性だったためレースを続行。

しかし今回の検査でスタッフ4名の陽性が明らかになり、チームはジロからの撤退を決断した。

UCIが対応すべきだった

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第2週目の第10ステージが行われた昨日(13日)の早朝、UCIはユンボ・ヴィズマの選手1人に陽性反応が出たと発表した。

すぐさまユンボ・ヴィズマは公式リリースを通してその選手が総合11位(1分24秒遅れ)につけるクライスヴァイクだと明らかにした。なおクライスヴァイクに自覚症状はないのだという。

そして発覚前のファンエムデンの怒りの矛先は、レース主催者ではなく自転車競技を統括するUCIに向けられた。

「UCIは(コロナ対策に関する)レギュレーションを作るべきだ。彼らが自転車競技のトップにいるのならば『これは(感染対策として)十分でない』と判断するべきだ」

ツールの成功が生んでしまった慢心か

選手から1人の感染者も出すことなくパリにたどり着いたツール・ド・フランス。

奇跡と称賛された大会を受け、UCIに慢心(油断)があったかどうかを聞かれたクライスヴァイクはこう答えた。

「おそらくね。もちろんないことを願っている。ツールに出場する選手もジロに出場する選手も(UCIは)平等に扱っているのだとね。しかし僕らは彼らのために(レースを途切れさせない為に)できる限りのことをしている。しかし彼らは(僕らを守るために)何もしてくれない。UCIは僕たち選手たちと対立するのではなく、僕たちのことを考えていると思わせるチャンスを逃してしまった」

「これ以上感染者が増えるようなことがあれば、UCIがRSC(ジロ主催者)に対し『この方法は適切ではない。もっと相応しい方法があるはずだ』と訴えるべきだ」

「検査結果は今夜(12日)出ると思う。メディアには明日(13日)の夜に伝えられるだろう」

昨年はツール総合3位という好成績を残したクライスヴァイク。今年はユンボ・ヴィズマのトリプルエースの1人としてツールに出場する予定だったが、直前のドーフィネ落車し肩を脱臼。今大会では優勝候補の一人にも挙げられ、単独エースとして初のグランツール制覇を目指していた。