みんな沢田時(TEAM BRIDGESTONE Cycling)の凄さわかってないでしょ?
ぶっちゃけ自分もマウンテンバイカー&シクロクロッサー&ロードレーサーとしての沢田時はわからんです。だって沢田時の走るレースどれも中継ないし。
しかし沢田時のSNSやnoteを読めば、彼の卓越した文章力・言語力・SNSセンスがわかります。例えば↓これ。
高強度のインターバル直後は家に帰る前にすぐにジェルを摂取。失った糖分を素早く補給することで回復が早まります。ピットインは疲れていても飲みやすい✨ちなみに #meiji 歴11年目なのでピットインだけで軽く1000本は飲んできたと思う🙆♂️#vaam #savas pic.twitter.com/VKtzl3a53m
— 沢田 時 (@SAWADA_Toki) February 28, 2022
かっ…完璧だ。この投稿を見て震えましたよ。2019年ツール第13ステージでポーの激坂を唯一アウターで登ったアラフィリップを目撃した辻啓氏ぐらい震えましたよ。
何気ないツイートにしか見えないこの投稿の、どこがどう優れているのか、営業妨害覚悟で徹底解説していこう。どうせ直接会うこともないだろうし。
・いやらしさを徹底排除
ちなみにPR投稿とは、スポンサー企業がチームや選手に対して提供する製品を選手自身がツイッターやインスタで紹介する投稿のこと。
そして、そのPR投稿において1番大切なのは「リアリティ」。
その選手が本当にその製品を良いと思っている”感”をどう伝えられるか。それが、成功とそれ以外の分岐点となる。
逆に言えば、わざとらしい投稿はすべからく失敗となるわけだ。投稿を見た瞬間「あっ、なんか宣伝している」とバレては効果は半減。なんなら逆効果にさえなり得る。
その点、沢田時の投稿は何気ない練習報告ツイートに”仕立てて”いる。
いつものツイートとテンションの境目がないのだ。←ここテストに出るよ
・写真の加工と絵文字は最小限に
PR投稿に失敗している選手たちは皆、気合を入れ過ぎるあまり、構図を整え、背景にこだわり、バリバリな加工を施す。また、文章も不自然に絵文字を多用する傾向にある。
沢田時の写真を見てほしい。加工しているかは不明だが「撮ってそのままアップしました」感が伝わってくる。
高強度のインターバル直後は家に帰る前にすぐにジェルを摂取。失った糖分を素早く補給することで回復が早まります。ピットインは疲れていても飲みやすい✨ちなみに #meiji 歴11年目なのでピットインだけで軽く1000本は飲んできたと思う🙆♂️#vaam #savas pic.twitter.com/VKtzl3a53m
— 沢田 時 (@SAWADA_Toki) February 28, 2022
もし加工するのならば、画像を明るくする程度。また、あえて広角で撮りクロップするのも自然感が出てGoodだ。
更に細かいポイントを挙げれば「製品のみではなく、それを紹介する本人も写す」、「サングラスで目元を隠す(顔のアップは見る方にとって辛いこともある)」、「チームジャージを写す」なども地味に大事なポイントだ。
・140文字にも構成を!
次に沢田時文章について解説しよう。そこら辺の訳知り顔ツーブロック広告代理店社員の文章なんかよりも断然優れているからね。おい!JCLの広報担当(広告代理店?)!選手の私服コンテストなんかするより選手へ細かいSNS指導する方がよっぽどクリティカルだぞ!
「高強度のインターバル直後は家に帰る前にすぐにジェルを摂取。失った糖分を素早く補給することで回復が早まります。ピットインは疲れていても飲みやすい✨ちなみに #meiji 歴11年目なのでピットインだけで軽く1000本は飲んできたと思う🙆♂️#vaam #savas」
↑の沢田時による文章は、基本的に↓のような構造になっている。
・得られる効果(結論)
・商品の差別化
・個人的感想
得られる効果↓
「高強度のインターバル直後は家に帰る前にすぐにジェルを摂取。失った糖分を素早く補給することで回復が早まります。」
商品の差別化(特徴説明)↓
「ピットインは疲れていても飲みやすい✨」
個人の感想↓
「ちなみに #meiji 歴11年目なのでピットインだけで軽く1000本は飲んできたと思う🙆♂️」
う…美しい。まるでカンペナールツのペダリングのごとく無駄がない。
沢田時のツイッターは、PR投稿以外も基本的にこの構成になっているから、文章が苦手な選手は写経する心意気でチェックしてみよう。
…つっても、そこら辺の選手が少し意識を変えたぐらいで沢田時と同等の文章を作り上げることなんて不可能。笑止千万。でも、最低限「何を伝えたいのかを書き出し」→「1番伝わる順番に並べ」→「行間を整える」ことをすれば、大分読める文章にグレードアップするからぜひ試してみてほしい。
それにはこちらの本↓がオススメ。PR投稿だけでなく全ての文章に通ずるテクニックが書かれている。
・PR投稿の成功ってなに?
そもそも、なぜ企業は選手にPR投稿を依頼するのだろうか?
それはタイムラインで見たファンにその商品の認知させ購買を促すため。つまり「あの選手が使っているから私も使ってみよう」がゴールなのだ。
しかし、フォロワーが少なく、脚質をオールラウンダーとしか書いていないような凡庸選手がちょっと背伸びしたぐらいではフォロワーの心はくすぐれない。それどころか「わざとらしさ」は商品の効果に対し疑念を抱かせ、逆効果になることにも繋がる。それぐらいPR投稿はセンシティブかつ難しいのだ。
ちなみに次のブログのタイトルは「自分の脚質をオールラウンダーと書いてる日本人選手は馬鹿なの?」です。ご期待ください。
・これで君も明日から沢田時!
①その製品が他社のものと違う点を書き出す → 一つに絞る
②使うシチュエーションを書き出す → 一つに絞る
③この製品に対して個人的な意見やエピソードを書き出す → 一つに絞る
④その3つの要素を並べ、自然な文章を作る(ここで文章の得意な人に頼る早いよ)。ハッシュタグを忘れずに!
⑤文章に沿った写真をたくさん撮る(なるべく広角に) → 一枚選ぶ
⑥写真をトリミングし、文章と合わせて投稿する。
とまぁこんな感じ。上記がめんどくさい人は沢田時に直接聞けばいいと思うよ。
・最後に
ここでは悪い(失敗している)PR投稿をあげつらうことはしないが、日本でレース活動をする日本人選手の9割はPR投稿に失敗している。ぜひとも沢田時のツイートと見比べてみて欲しい。きっと発見があるはずだ。