そこじゃねーよ!
UCI(国際自転車競技連合)は2019年シーズンから選手の靴下の長さについてより厳格化するルールを導入すると発表しました。
中継でもたびたび言及されていた、この「ソックスの長さ」問題。
UCIの規定では以下のように明確に定められています。
「競技で着用するソックスとシューズカバーの最大高さは、外側くるぶし(lateral malleolus)から腓骨頂点(fibula head)の中間まででなくてはならない」(訳者:筆者)
ざっくり要約すると「靴下はくるぶしと膝の中間地点まで」ということ。
プロトンのソックス事情といえば…
しかし、ご存知の通り今シーズンこのルールはまったくと言っていいほど守られていませんでした。
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中継で飯島のアニキが半笑いで指摘するレベル
特にタイムトライアルは無法地帯で、上位に入る選手の大半は規定の高さよりも上まで覆っていました。特にスカイ!
そこでUCIは2019年からルールをより厳格化するため、ご丁寧に下記の図をWebサイトに掲載しました。
画像引用:UCI
長いソックスを禁止する背景には、着用する素材によってチーム間のタイムに差がついてしまうことの是正。
スカイの靴下には脚を締め付け、表面の加工によってより空気抵抗を減らす効果があると言われています。
そもそもUCIは、選手の身体を変形させる衣類の着用を禁止しています。
そこじゃねーよ!とツッコミを入れる理由
一見とても良い施策に思えるのですが、これに対する反応は歓迎するどころか真逆。
英語で意見を発信している人たちで一致している意見としては「そこじゃねーよ!」でした。
例えば、EFエデュケーション・ドラパックのジョナサン・ヴォーターズGMは…
Thank goodness the UCI is focusing on the important issues. https://t.co/9tOvrAYvnw
— Jonathan Vaughters (@Vaughters) 2018年11月15日
「UCIはようやく大事な問題に着目したようだ」
(意訳:そこじゃねーよ!)
この厳格化の何がそこじゃねーのか、スカイと補給ジェルなどの契約を結んでいるイギリスのSiS(Science and Sport)のステファン・ムーンCEOが詳しくコメントしていました。
Funding problems in pro cycling?
Governance issues?
Grass roots development?Trifling stuff, I’m so glad @UCI_cycling are all over the big issues, such as legal sock length … I’ll sleep easier tonight. pic.twitter.com/Opm6oYm977
— Stephen Moon (@stephenmsis) 2018年11月15日
プロサイクリングの資金に問題?
統治管理に問題?
スポーツの発展に課題?こんな問題はくだらなすぎる。UCIはやっとこの大きな問題に着手したようだ。この靴下の長さという問題にな!おかげで今夜安眠できるぜ。
(意訳:そこじゃねーよ!)
そこじゃない理由
たしかにプロトンの優等生ネイサン・ハースが言う通り、「特殊な効果を発揮するソックスにお金を費やせるスカイのようなチーム」と「ホビーレーサーと変わらない材質のものを履いている貧乏チーム」との差を詰めるためには良いルールなのかもしれません。
しかし、73勝したクイックステップがスポンサー探しに苦労する自転車界の現状に対して早急な対策を打たず、圧勝するスカイ包囲網にひたすら注力する最近のUCI(国際自転車競技連合)の動きをみると、本来は支持する側のヴォーターズGMも皮肉の一つや二つ言いたくもなります。
ツール・ド・フランス総合優勝以外の勝利の市場価値が著しく低下している現状で、UCI(てか会長のラパルティアンが)するべきはICOへのゴマすりや、こんな靴下の長さ規定…ではないように思います。
つまり、やってることは間違っていないのだけど、
”いま”そこじゃねー気がするぞ!UCI!!
あと個人的にソックスは長い方がカッコよくないですか?