10月25日に行われた2019年ツール・ド・フランスのコース発表会。ベルギー・ブリュッセルでの開幕や、史上最多となる30カ所の山越えなどが発表された。
だが最も注目を集めたのはASOが正式に主張したパワーメーター禁止案だった。
壇上でツールのディレクターであるクリスチャン・プルードム(フランス)はスピーチの最後でこのように述べた。
「我々は再度レースでのパワーメーターの使用禁止を訴えたい。なぜならこれは不確実性というスポーツの素晴らしさを絶滅させるものでしかないからだ。」
同氏はその後のインタビューで以下のように補足した。
「(禁止の有無は)UCI次第だ。」
「パワーメーターはトレーニングではとても有益だが、レースで使用してしまうとどれだけの時間、どれだけ出力すればいいのかが正確に分かってしまう。だがもし選手の余力が分からなければ、レースは様変わりするだろう。」
これに対し、UCI(国際自転車競技連合)会長のダヴィ・ラパルティアン(フランス)も好意的な意見を述べた。
「私はこれ(パワーメーター廃止案)を支持する。選手とチームにとってステージ後に(選手の)限界値を把握できるから、全てを禁止するべきとは言わないまでも、レース中の使用禁止には賛成だ。」
これは安全性の向上という理由で2018年よりグランツール出場人数を9人から8人に減らしたのと同じように、圧倒的な力でツール優勝を重ねるチーム・スカイへの対策と見られている。
スカイの監督(DS)ニコラ・ポルタルはこの報道に反応した。
「(禁止したところで)何も変わらないと思う。」
「パワーメーターがなくなったとしても、トレーニングで活用できるレース中のデータがなくなってしまうだけだ。」
11月4日にさいたまクリテリウムに参加したゲラント・トーマス(イギリス)もこう反論した。
「僕らは7年で6回のツールで優勝しているんだ。だが、これはパワーメーターのおかげではない。」
「だったらウールのジャージを着て、ダウンチューブにギア変速機をつければ満足か?」
「スポーツは絶えず発展をする必要があると思っている、F1みたいにね。チームは常に進化しようとしている。しかし、どうやらこのスポーツの偉い人達はそれを抑えたいようだね。」
来シーズンよりパワーメーターの禁止が実施されるかはいまのところ不透明だが、ASOとUCIの意見が一致している現状、その可能性は高い。