10月25日に行われた2019年ツール・ド・フランスのコース発表での「パワーメーター禁止案」を受け、自転車界で最も影響力のあるポッドキャスターとして活躍するランス・アームストロングが持論を展開した。
・No.1 2019年ツールではパワーメーターがなくなる?!スカイ包囲網の第二弾!!
・No.2 バルベルデとキンタナがパワーメーター禁止を訴える理由
・No.3 これで解決?ランス・アームストロングがパワーメーター禁止案に一言物申す ← イマココ
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ランス・アームストロング:「クリスチャン・プルードムが現れパワーメーターは禁止すべきだと訴えた。チームスカイがパワーメーターを使い、何が可能で不可能かを正確に把握し、まるでロボットのような動きをするからな。」
この禁止案の背景には、ここ7年で6度のツール総合優勝と圧倒的な力を見せつけるチーム・スカイへの対策と言われている。
トレインを組み集団先頭を引くスカイの選手たちは、手元のサイクルコンピュータを使い、ワット数などを確認しながら緻密なペース作りをすることで、ライバルチームの選手達によるアタックを(ロボットのように)防いでいるのだ。
しかし、ランスはこのパワーメーター禁止案に反対する。その理由をこう話した。
ランス・アームストロング:「ところで、プルードムは元々自転車選手じゃないんだ。つまり自転車のことなんか何も分かっていない。やつはただの政治家で…」
「あいつは一体何を言っているんだ?(パワーメータを使った)戦いを自分で経験したこともないくせに、ホント何言っているんだまったく。」
「おれの考えはこうだ。何も禁止するべきではない。」
「無線も禁止するべきじゃないし、何なら公開するべきだ。パワーデータは今後もっと進歩していくのだから、ウェアブルな計測機器などが…心拍数だけじゃなく体温なども含め、それらは自転車競技の一部になっていくべきだ。」
これまでの自転車ロードレース界で、特定の機器を禁止する動きはいくつかあったが、ここ10年ほど活発に議論されていたのはパワーメーターではなく、チームカーと選手たちを繋ぐ無線だった。
ランス・アームストロング:「このような動きは10年前ぐらいに起こったよな?無線を禁止しようとした時の話だ。それに対して俺は、無線を公に公開すればいいと言ったんだ。無線をレースから排除するではなく、いま以上に活用するべきだどな。」
「だから、パワーメーターに対しても同じ意見だ。現行のレースはときにクソ退屈(な展開)になってしまう。とても長い距離のステージとかは特にな。そんなレースが(ツールでは)10ステージぐらいあるんだ。」
「それらを公開すればいい。無線の内容や、パワーメーターの数値を公開するんだ。そう、全てをだ。そうすれば、長く退屈な日(ステージ)でも、少なくともワット数や心拍数などを見て楽しめる。」
何も起こらない平坦基調コースへの議論は、今年のペーター・サガンの発言や低迷する欧州での視聴率などキッカケに、より深刻になってきている。
しかし、レース主催者たちはその対策として近年、グランツールではより多くの頂上フィニッシュや、100km程度の短い距離のコースなどを取り入れることで解決の道を模索している。
ランスは「データの可視化」がその対策の一つに繋がるのではないかと提案する。
「もし体温や心拍数などのデータを公表したら、ライバルチームはその数値を喜んで分析に使うだろうし、その逆もしかりだ。」
「だが、その数値に価値はとても高いと思うし、俺自身その数値に価値はあると思っている。ファンにそのデータを与えることの価値はな。」
参考引用:2019 Tour de France Route Preview