2017年シーズンをもって惜しまれつつも引退したアルベルト・コンタドール(37歳)が、獲得標高8,848mを登るエベレスティングで世界新記録を達成した。
コンタドールが挑戦に選んだコースは、2019年ブエルタ第18ステージの舞台ともなったスペイン・マドリード北部に位置するグアダマラ山脈にあるネヴェペレグリン峠(距離6.8km/獲得標高113m/平均勾配7%)。その登りを78往復しての達成となった。
ディスクブレーキで6.19kg
ほとんど無名選手とはいえワールドツアーで活動する現役選手のラクラン・モートン(EFプロサイクリング/28歳)の記録を、約2分半も上回るコンタドールのスピードは引退後も衰えていないことを証明した。
またコンタドールはコロナ自粛期間中の一気に注目度を高めたこのチャレンジを、自らがプロデュースする「A BIKES」のプロモーションとして活用したようだ。
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ライトウェイト(LightWeight)のホイールを履いたバイクの重量は、ディスクブレーキにも関わらず6.19kgと超軽量。
引退して2年以上が経つとはいえ、グランツールで計7度の総合優勝を果たしているコンタドールに、UCI規定以下のバイクを与えれば今回の記録も納得だ。
ダンシングで20分のトレーニング
策略通り世界中のファンにコンタドールの名前を思い出させることに成功したわけだが、コンタドールと言えば独特な上半身のダンシング、そしてそのトレーニング方法が思い出される。
GCNのインタビューに答えたコンタドールは、クライミングのトレーニング方法を聞かれこう答えている。
「冬のオフシーズンの最初の一ヶ月はシッティングの最大出力を確認しなければいけない。なぜなら長時間シッティングで走れることができれば、最後のアタックでよりフレッシュな脚に残しておけるからだ」
「また、より高い出力を出したいときは約20分のダンシング練習をしている。年のはじめに行うと脚より腕が辛いけどね」
ダンシング向上のために腕を鍛えるなど自転車以外のトレーニングはしないというコンタドール。だがやる気を起こさせるコツはあるのだという。
「だけど過去にパンターニの映像を観ていた時がある。彼のジロやツールの映像を見るとやる気がみなぎってくるからね。彼はこんな感じ(下ハンドルを握ってのダンシング)だけど、僕は無理だね。一分もすれば脚がパンパンになってしまう。でもここ(上ハンドル)なら長時間でもダンシングができる」
このインタビューでは特別な筋力トレーニングは行っていないと話すが、元サクソバンクでマッサーとしてコンタドールをそばで見てきた中野喜文氏は、コンタドールの筋肉量の多さ、特に体幹部に近い筋肉は日本人選手のスプリンター並にあったと話している。
(日本人がマイヨ・ジョーヌを着用するには)中野喜文「僕が見てきた強い選手に共通している点として、筋肉量の多さというものが一つキーワードになります」「ボディビルのようなレベルで筋肉を発達させるアプローチをまず最初にして、その後自転車の方のトレーニングに変更していく」(続く)
— Sorato | plenty of… (@If_So_Ara) January 29, 2020
続き)「コンタドール選手は細く見えますよね」「ただ特に体幹部分に近い筋肉が非常に発達しているのが特徴です」「見た目は確かにに細いですけど、筋収縮させたとき」「(マッサージで)力をグッと入れた時の筋肉の盛り上がり方は」「日本人選手で言えばスプリンターとして活躍できるレベルの筋肉量」
— Sorato | plenty of… (@If_So_Ara) January 29, 2020