ユンボ・ヴィスマの広報…優秀すぎる。
ミッチェルトン・スコットのマッティオ・トレンティンが見事な逃げ切り勝利を上げた第17ステージだったが、20分遅れで平和に走行していたメイン集団である事件が起きた。
Look what Rowe did. pic.twitter.com/zBqKRYr6ed
— kd (@kd2357) July 24, 2019
センチネッレ峠の麓の残り14km地点、集団の先頭付近にいたユンボ・ヴィスマのトニー・マルティン(ドイツ/34歳)がチームイネオスのルーク・ロウ(イギリス/29歳)の進路を妨害し、危うく落車しかけたのである。
また、同映像には直後に報復行為(プッシング)をするルーク・ロウの姿も映っており、コミッセール(審判団)はレース後の聴き取り調査の結果、二人に対し失格処分を課した。
総合優勝を争う二チームにとって大事な平地アシストを失った形になったが、なんとユンボ・ヴィスマがレースから約7時間後に二人の謝罪&釈明動画を公開したのだ。
一部を抜粋。
ーー具体的に何が起こったの?
ルーク・ロウ:みんなあの映像から話を勝手に作ればいいのだけど、手をあげて「僕は間違いを犯した」と言える。あの時は暑かったし、ゲラント(トーマス)とエガン(ベルナル)のためにポジションを争っていた。もちろんトニーはクライスヴァイクの為にね。そして過ちを犯してしまった。何が起こったかは映像に残っているし、観てなんとでも言えばいいけど…
ーー君にこの出来事はどう映った?
トニー・マルティン:ルークと同じ印象だよ。あの時は暑かったし、エースを前に位置させる為に最後の登りで激しい争いが行われていた。すべての注意をそこに向けていたし、35度の暑さのなか5時間も走っていたんだ。みな限界ギリギリだったし、そんな状態で争わなければならなかったし…あの映像に映っていたことに対して謝罪がしたい。直後に申し訳ない気持ちになったが、暑かったし、これはスポーツでは起きることだ。ルークとチームイネオス、そして自転車界全体に対しても謝りたい。
その後のルーク・ロウの話によると、最終山岳の後に二人は和解し、フィニッシュ後に「明日また一緒に戦おう」と握手をしたそうだ。
また今回のコミッセールの判断に対してルーク・ロウとトニー・マルティンの両者は、失格処分は厳しすぎると不満を語り、両チームはこの処分に対しUCIに正式に抗議している。
〜以下感想〜
個人的にこのインタビュー動画をレース後(フィニッシュから約7時間)に公開したユンボ・ヴィスマを称賛したい。この動画によって両選手への取材をある程度収められ、選手同士による釈明と和解を公開することで、両者のファンが感情的になる事態も最小限にできるからだ。
第13ステージで落車・骨折により棄権したワウト・ファンアールトの病室からのインタビューを直後に公開するなど、ここ最近のユンボ・ヴィスマの広報のフットワークの軽さと、ファンを第一に考えた広報活動の素晴らしさには驚かされる。