【予想】チームイネオスになると、こう変わる。

こんな未来が見えてきます。

チームスカイは3月19日にプレスリリースを出し、英衛星放送局スカイが5月1日付けで英国を拠点とする化学メーカーイネオスにチームの株式を全売却すると発表した。

その為、チーム名は5月1日より「チームイネオス」となり、5月2日に開幕するツール・ド・ヨークシャーが初お披露目の場となる。

さて、スカイからイネオスになることで、一体何が変わるのだろうか?

資金増額でより強固な一強体制へ

CyclingNewsによるとチームイネオスになることで運営資金が現在の約50億円から60億円程度増額されるようだ。

他のワールドツアーチームの運営資金が約12億〜19億円程度であることから、イネオスに代わることで豊富な資金力による一強体制は強まりそうだ。

総合リーダーの大渋滞

他チームだったら全員エース。

2020年末まで契約が残るクリス・フルーム(33歳/イギリス)と、昨年に2021年末までの3年契約を結んだゲラント・トーマス(32歳/ウェールズ)に加え、自転車界では異例の5年契約(2023年末まで)のエガン・ベルナル(22歳/コロンビア)や、そのベルナル以上の逸材を噂される同じくコロンビア出身イヴァン・ソーサ(21歳/コロンビア)、後述するミカル・クウィアトコウスキー(28歳/ポーランド)と、クラシックレーサーから総合系に転身し「Gトーマス・ルート」を辿ると言われているジャンニ・モスコン(24歳/イタリア)、そして成長著しい若手イギリス人のタオ・ゲオゲガンハート(23歳/イギリス)など、他チームなら総合エースを任せられる選手が多すぎて渋滞を起こしている。

今シーズンは、ジロにベルナルとゲオゲガンハート、ソーサ、モスコンが出場し、ツールにはフルームとゲラント・トーマス、クウィアトコウスキーが予定されている。

ジャージは黒に逆戻り

スポンサーが変わる上でのファンの関心事と言えばチームカラーだ。

イネオスがスポンサーをつとめるセーリングチームを見るに黒ベースと、2017年以前のチームスカイと同様の色が予想される。

クウィアトコウスキー残留の可能性高まる

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2020年末まで契約が残っている絶対的アシストのミカル・クウィアトコウスキーだが、イネオスとの合意報道が出るまではポーランド籍として初のワールドツアーチームとなったCCCへの違約金込みの移籍既定路線と言われていた。

だが、イネオスがスポンサーにつくことで所属選手の年俸が上がることは確実であり、高年俸を捨て総合エースとして他チームに移籍する可能性は低いだろう。なぜならCCCにイネオス以上の年俸が払えるとは思えない。彼のエースとしてツールで走る姿を見られないのは残念だが。

オーナーめっちゃ練習見にくる

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イネオスの創業者で大株主でもあるジム・ラットクリフ(66歳/イギリス)は、昨年大英帝国勲章を授与されたのにも関わらず、租税回避のためにモナコに引っ越した

モナコといえばチームスカイの練習拠点があり、フルームやゲラント・トーマスも住んでいる。つまり、めっちゃくちゃ視察にきて、どこかのロシア人よろしく存在感をアピールする可能性がある。

ニバリのイネオス移籍の可能性高まる

↑スカイのスポンサー撤退が明らかになる直前(2018年11月)の記事

ヴィンチェンツォ・ニバリ(34歳/イタリア)を中心に誕生したバーレーン・メリダだったが、どうやら契約延長交渉は全く進んでいないようだ。

年明けにトレックとの交渉が報道されたが、スカイのスポンサー撤退報道が出る直前にはチームスカイに関心を示しているという報道があった。

もちろんイネオスに来ればグランツールのエースではなく、山岳アシストワンデーレースを狙う役割になるが、下手に他チームの総合エースになるよりも、イネオスのベテランアシストの方が年俸が高い可能性は十分に考えられる。

チームカーがアストンマーティンになる

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イネオスと合意したニュースについてコメントを求められたモビスター監督のマキシミリアン・シャンドリが、

「予算が増額したらチームカーがアストンマーティン(イギリスの高級車)になるんじゃない?

とジョークを語った。何それめっちゃ見たい。

ゲオゲガンハートへのプレッシャー高まる

フルームとゲラント・トーマスに次ぐ総合エース候補として注目されるエガン・ベルナルだが、彼はコロンビア人。

ツールで総合優勝が可能なイギリス人選手が欲しいイネオスとしては、タオ・ゲオゲガンハートに対し期待をするのではと考えられる。

サラリーキャップ導入が現実的になる

チームイネオスになって資金が増額されれば、当然ながらUCI(国際自転車競技連合)チーム間の格差是正へ施策を打たざるを得ないだろう。その筆頭が選手の年俸に制限をかけるサラリーキャップの導入だ。

だが、個人的には60億円程度(浦和レッズと同規模)でのサラリーキャップはプロスポーツ発展の妨げにしかならないと思っている。

バーレーン・メリダが対抗して運営資金を増額

チームスカイの次にお金を持っているチームといえば、今年よりマクラーレン・グループと50%の合弁企業設立したバーレーン・メリダだろう。しかし、同チームは着々とその資金を増やしてはいるものの、現状グランツールの総合優勝を狙える選手がニバリ一人と人材不足。

今シーズンは世界選手権個人TT王者のローハン・デニス(28歳/オーストラリア)を次の総合エースに育てるべく獲得したが、即戦力というわけではない。

イネオスに対抗するべく、来年シーズンに選手の爆買いが期待される。

環境保護をアピールが強化

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イネオスのフラッキング(水圧破砕法)に反対するキャンペーン

昨年のツール・ド・フランスでチームスカイは、海洋生物にダメージを与えるプラスチック制限の普及活動として、シャチスカイオーシャンレスキューという文字がデザインされたスペシャル・ジャージで走った。

だが、新スポンサーのイネオスはそのプラスチックの生産に大きく関わる化学メーカー。

さらに同企業が行うフラッキング(水圧破砕法)によるシェール(頁岩)ガス採掘は、デモが行われるほど批判の的となっており、クリーンなイメージ訴求の為、いままで以上の環境保護活動へのアピールが行われるかもしれない。

Source: Cycling Journo on the Road, CyclingNews, CyclingWeekly, NNAEUROPE