不可解なキンタナを徹底分析。ランスの2019年ツール第14stレビュー

2019年ツール・ド・フランスで最初の超級山岳となったトゥールマレー峠の山頂フィニッシュは、今大会絶好調のティボー・ピノ(フランス/29歳)が覇気のあるダンシングで勝利した。

それとは対照的に、ゲラント・トーマスやヤコブ・フルサング、アダム・イェーツやナイロ・キンタナなどの総合有力勢が遅れをとってしまった。

特にチーム・イネオスはベルナルがなんとか2位グループについて行ったもののエースのトーマスが総合首位から30秒を失い、アシストのミカル・クウィアトコウスキーやワウト・プールス、ジャンニ・モスコンなどが早々と集団から脱落し、ここ数年で初めても言える脆弱な姿を見せた。

無口なキンタナ

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脱落した総合勢の中でも注目を集めたのが、ここまで総合9位(3分55秒遅れ)につけていたモビスターのナイロ・キンタナ(コロンビア/29歳)だ。残り19km地点からトゥールマレーに入るとイネオスにも引けを取らないモビスターの山岳アシスト陣で集団をコントロール。しかし残り10kmでアンドレイ・アマドールが引きはじめると、エースであるキンタナが集団から遅れてしまった。

ーー今日のステージで遅れていった選手といえば、キンタナが苦しんでいた。ジョージ。君は仮説があるんだろう?

ジョージ・ヒンカピー:トゥールマレーでチームメイトが先頭を引いていたのに、その集団から落ちてしまったんだ。精神的にとても辛かっただろう。だがその後キンタナが何をしたかというと、観客からコーラを受け取ったんだ。それは何を示唆するものか。そう、エネルギー切れだ。

おそらく3時間のショートステージだから、あまり多く食べなくていいと思ったのだろう。しかし明らかに集団のペースは速く、常に高いプレッシャーの中だった。ツール・ド・フランスで総合リーダーが知らない観客からコーラを受け取るなんて、明らかにエネルギー切れだ。燃料切れの状態で這うようにフィニッシュまでたどり着いたのだろう。4分も失ってしまった。

ランス・アームストロング:ヤツのチーム(モビスター)が集団を引いていたんだ。つまり自分のチームに振り落とされた。無線でコミュニケーションは取らなかったのか?「ちょっと待ってくれ」ってなぜ言わなかった?

ヒンカピー:みんなそれに驚かされたよね。彼はチームに何か言ったのかもしれないし、もし君だったら言うよね。そんなこと起こったことなかったけど。

普通はチームメイトやチームに「他のチームに牽引を任せて1kmほどリカバリーをさせてくれ」って言うよね。1kmの間に何か食べれば大きな違いになったはずだ。

ランス:しかし(何もしなかったため)3分半を失った。こういうをなんて言うか知ってるか?プロのすることじゃないって言うんだ。

どうしたキンタナ

レース後のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン/39歳)はインタビューに対し「ナイロは良くなかったが、何も知らせてくれないかった」と答えた。

ランス:最後にキンタナについて言えば、(モビスターを)退団し、より小さいチーム(プロコンのアルケア・サムシック)に行く。何かがおかしい。意味がわからない。

英CyclingWeeklyはモビスターのGMエウセビオ・ウンズエ氏が、ナイロ・キンタナと今季ジロで総合優勝したリチャル・カラパスの退団を認めたと伝えた。

そしてキンタナは以前からの報道通りフランス籍プロコンチネンタルチームのアルケア・サムシックへ移籍する。現在ツールに出場している同チームにはワレン・バルギルとアンドレ・グライペルが所属し、一部報道によるとキンタナのアシストとしてモビスターからウィネル・アナコナ(コロンビア/30歳)と、イネオスからディエゴ・ローザ(イタリア/30歳)、そして弟のダイェル・キンタナ(コロンビア/26歳)も合わせて移籍すると見られている。

Source: CyclingWeekly