「スカイのようなチームに仕掛けるのは難しいが、彼らの戦略は分かりきっている。速いテンポで集団をコントロールしレースに勝てるなら、それを行うに決まっている。そうやってレースをコントロールするのが(いまの時代の)レースの勝ち方だ。そしてスカイはそれを見事にやってのける」
昨季のツール・ド・フランスで、クリス・フルーム(33歳/イギリス)が総合優勝してから、ここまでグランツール5連覇中のチーム・スカイ。
どこのチームの、どの選手が、どうすれば最強軍団に勝てるのか?
かつてその一員でもあり、現在はデュムランとともに打倒スカイの筆頭と言われているリッチー・ポート(33歳/オーストラリア)が、その倒し方について語ってくれた。
リッチー・ポート:
「スカイのように集団先頭を引くのは一つの方法だが、全てのチームに(強い)高給取りの選手がいるわけじゃない」
「モビスターをみてみなよ。彼らが典型的な例だろう。三人の高年俸選手(キンタナ、バルベルデ、ランダ)を擁していたのにも関わらず、ナイロ・キンタナのステージ勝利以外は何の成果もなかった。別にモビスターをこき下ろしたいわけじゃないが、もし彼らがスカイのように一丸となって走っていたら、もっと良い結果を掴んでいたんじゃないかな」
「でも(逆に)彼らの立場に立ってみると、それは簡単なことじゃない。ルーク・ロウや、カストロビエホみたいな(強い)選手相手にするのだからね。しかもその後にベルナルのような選手まで残しているんだ」
「みんなフルームに対し仕掛けるのを怖がっていた。その恩恵を一番受けたのはゲラント(トーマス)だろうね。他チームはフルームに恐れ、そこに一番強いゲラントがいた。(そんなスカイ相手に)何をすれば勝てるんだろうね。ライバルチームが結託して一斉に襲いかかるしかないだろう」
「スカイにテンポで集団を引かれるのはしょうがない。だから仕掛けて、あとはフルームかゲラントがバッド・デイであることを祈るしかないんじゃないかな。それぐらいしか勝つ方法は思いつかない」
「(例えば)2013年ツールのあるステージで、他チームが結託し襲いかかられたせいで、僕を含めたスカイの選手が遅れ、フルームが孤立したことがあった。 僕たちは集団をコントロールしようとしたが、あまりにも多くの選手が逃げに乗ろうとしたんだ。それがスカイに勝つ方法だろう」
「フルガス(全力)でアタックし続ければ。それがスカイを打ち負かす唯一の方法だろう」
スカイが強すぎるがゆえに度々話題に上がるサラリーキャップ(年俸制限)の議論について、リッチー・ポートはこう語る。
「サラリーキャップよりも、まず自転車競技にはスカイのような(多額の資金を投入してくれる)スポンサーが必要だ」
「(サラリーキャップに関する議論の多くは)きれい事にしか過ぎない」
最後に、今ツールでゲラント・トーマスとデュムランに負け、まさかの3位に沈んだクリス・フルームについても語ってくれた。
「(報道で言われているように)これがフルーミーの終わりの始まりだとはこれっぽっちも思わない。 クリス・フルームという人間は、常に戦っている。彼に楽なシーズンはない。もし彼が来年ツールという目標の為に万全の状態で挑むことができるのなら、倒すべき相手は間違いなく彼になるだろう」
「もし誰かがフルームのようにジロを優勝したのなら、素晴らしいシーズンと称賛されただろう」
「フルーミーは自分に対してプレッシャーをかけすぎたんだ。5勝目の為にね。それが彼を難しい状況に追いやったのだろう。あの時の状況と、現地での反感の中でのレースは簡単ではなかったはずだ。その日のレースが終われば彼も一人の人間に戻るし、それらは結局プレッシャーとして苛まれる。(中略)クリスは今年のツールでは勝てなかったが、来年は全てを5勝目の為に注いでくるだろう」
リッチー・ポートは8月25(土)に開幕するブエルタ・ア・エスパーニャに出場し、自身初となるグランツール総合優勝を目指す。
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