リエージュ~バストーニュ~リエージュを制したヤコブ・フルサングによって春のクラシックが閉幕した。
結果を見てみると昨年同様アラフィリップらを擁するドゥクーニンク・クイックステップの強さが目立ち、チームとしてはエースのサガンこそ不調が続いたが、ボーラ・ハンスグローエの若手選手がポディウムや上位入賞するなど未来を予感させた。
だが選手個人として最も注目を集めたのは、やはりアムステルゴールドレースで劇的な勝利を上げたマチュー・ファンデルプール(24歳/オランダ)だろう。
シクロクロスとMTBの王者が見せたロード選手とは異質な強さは、ジャーナリストたちがロードレースという競技を見つめ直し、活発な議論が行われるきっかけとなった。
自転車界の音声メディアとしては草分け的な存在であるイギリスの『The Cycling Podcast』でも、マチュー・ファンデルプールを中心に、シクロクロスが与えるロードレースへの影響について話されていた。
ダニエル・フリーブ:Veloというフランス紙がファンデルプールについての記事で、スティーブ・シャネル(元AG2R/2015年引退)という元シクロクロスとロードレースを走った元選手のコメントを紹介していた。彼はこの二つの競技に求められる鍛錬の違いについて語っていた。
通常の1時間に満たないシクロクロスのレースでは、800Wのスプリントを300回の行う。ファンデルプールはこの冬(シクロクロスの)33レースに出場した。つまり、彼は800Wのスプリントを1万回繰り返したことになる。それをトレーニングではなくレースで行ったんだ。
(ロードレースの)ワールドツアーを走る選手の中で、これに相当するトレーニングをした選手はいるだろうか?もちろんヴァンアールトやシクロクロスもに走る選手もいるが、それ以外のロード選手に対して、このトレーニングはどう意味をもたらすだろうか?
明らかに(ファンデルプールにロード選手とは)違った能力を作り出す。
そしてこれはロードレースでとても有益な能力だ。もしファンデルプールがロードレースにフルコミット(本格参戦)した場合、同じだけの練習をこなせるだろうか?
それは、わからない(多分無理だ)。
ライオネス・バーニー:それは非常に興味深い視点だね。
現在の自転車ロードレースでは、短くて高強度なトレーニングが行われている。しかもこれは一時の流行りなどではなく、理論が発展した結果だ。
もしファンデルプールがいまの二倍のロードトレーニングをこなし、7日間のステージレースやグランツールを走ったら、彼から何かしらが取り去ってしまうんじゃないだろうか?
いまの彼が優れている能力にとっては逆効果になってしまうのではないか?
その答えは、この数年でわかるだろうけどね。
Source: The Cycling Podcast