アダム・ハンセンがビンディングシューズを自作する理由

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2018年ジロ・デ・イタリアにて20回連続グランツール完走という前人未到の記録を打ち立てた鉄人、アダム・ハンセン(ロット・スーダル/37歳

その一方で5つの言語(PHP, MySQL, ASP, VB, Java)を巧みに操っていた元プログラマーであり、極端に長いクランクによる個性的なポジションなど、独自の理論で自転車ロードレース界に異質な存在感を放っている。

その中でも、アダム・ハンセンについて語る上で欠かせないのが、自作するビンディングシューズだろう。

ないなら、自分で作ろうと思った。

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足の形が普通の人とは異なっているからね。骨が出っ張っていて、通常のシューズが履けないんだ」

理由は意外にも単純だった。

「DMTからピッタリくるシューズが発売されたんだけど、このシリーズの発売を止めてしまったんだ。だからその後3シーズン、その発売停止されたモデルを履くしかなかった。でも、さすがに古くなってしまったから…自分で作ろうかなって

そう思い立ったハンセンは、自国オーストラリアの足を専門とする医院の協力のもと、いくつもの足型を取り、理想のシューズを作り始めた。

「家に作業場があって、そこで様々な素材を切って試したんだ」

「でも、(いまの形になるまでの)道のりは長かった。試行錯誤の連続さ」

現在の形にたどり着くまで16個ものプロトタイプを経たというシューズは、一言でいえば”シンプル”。

余計なものが一切排除されたフォルムは、従来のビンディングシューズのそれとは異なっている。

従来の半分の軽さ

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「とても軽く、すべてが(片方で)95g以下だ。一番軽いのが 76g 。信じられないくらい軽いよ。手に持ったらクリートがシューズの半分以上の重さを占めるのだからね。(この軽さのシューズで)レースできることが信じられないくらいだ」

独特なヌーディーな形は、ハンセンが求める”軽さ”を実現するためだという。

「今のシューズが(両方で)240gだ。普通は500gぐらいだからその半分だ」

通常、軽さを追求して損なわれてしまう耐久性だが、それに対してもハンセンは自信を伺わせる。

「剛性はとても高いよ。多くの人は信じないかもしれないけどね」

理想のシューズを求めて。

特異な足を持ち市販のシューズが合わない選手は、別にアダム・ハンセンに限った話ではない。通常そういった選手はメーカーと相談し、足型を取り、オーダーメイドのシューズを作成してもらう。

 

 
 
 
 
 
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SIDIに保管されている大量の選手の足型。ヴィンチェンツォ・ニバリをはじめとした多くの選手が足型を元にオーダーメイドされたシューズを履く。

つまり「自分の足に合うシューズが無かった」は、自作する理由にはならない。

それに、素材探しから始めるなんて一選手のすることではない。

軽さの代償は寒さ、ただそれだけ。

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「僕の足の形に正確に作ってある。しかし普通はそうはいかないから、どうしてもシューズを締めすぎてしまうんだ。それでもシューズ内部に空間が生まれてしまう。でも、僕のシューズはその心配がない」

「上部がカーボン素材になっている。他のシューズもカーボンを使っているが、違いは柔軟性をもたせているところだ。それにソール(靴底)が(足の形に沿って)山なりになっている」

もちろん、軽すぎるがゆえに失うものもある。

「夏で足が熱くなったりはしないが、問題は冬の寒さだ。80g分の素材しか足を覆っていないから、日光の熱を(シューズの中に)蓄えられないんだ

ハンセンは「Hanseeno(ハンシーノ)」というブランドを立ち上げ、シューズやカジュアルウェアなどの販売を行っている。

Source:CyclingTips, CyclingNews, The Inner Ring