バーレーン・メリダの爆買いに備えよ

市場に溢れろオイルマネー。

チームスカイはスポンサーがイギリスの化学メーカーイネオスに変わり、予算も現在の50億円から10億円程度増額されると言われている。

その強固になる一強体制に待ったをかけるのが、昨年同じイギリスのマクラーレンとスポンサー提携を結んだバーレーン・メリダだ。

マクラーレンはバーレーン・メリダの50%の共同事業パートナーになり、今季こそ袖口にロゴがあしらわれる程度だが、2020年シーズンではバーレーン・マクラーレン(あるいはそのマクラーレン・バーレーン)にチーム名を改める予定だという。

強化の初手は選手ではなく…

この資金力を増した中東チームが補強の手始めとしてとして選んだのが、選手ではなく、チームスカイのパフォーマンス担当コーチ ロッド・エリングワース(46歳/イギリス)だった。

彼は現役引退後、イギリスの自転車チームでコーチを歴任し、イギリス自転車競技の発展に尽力した人物で、チームスカイの発足時からコーチを務めている。特にカヴェンディッシュの成長に大きく関わっており、同選手のインタビューではたびたび言及される人物である。

そんなエリングワースが今季限りでチームスカイを離れ、来季からバーレーン・メリダのシニアマネージャー就任が決まったのである。予算が増額されるであろうイネオスからの移籍ということもあり、バーレーンからの提示は相当な金額だったということが予想される。

ニバリの代役探し

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一方、バーレーン・メリダの選手ではチーム発足時から中心だったヴィンチェンツォ・ニバリ(34歳/イタリア)との契約延長交渉が難航し、CyclingWeekleyによるとトレック・セガフレード2年契約年俸約300万ユーロ(3.7億円)で合意していると伝えられている。

そのためチームはニバリに代わる総合順位を争える即戦力が必要になってくるわけだが、その候補筆頭に上がっているのが、モビスターのミケル・ランダ(29歳/スペイン)だ。*既に合意済みという報道もある

ランダはアスタナからチームスカイに移籍し、昨季から母国スペインのモビスターでは、グランツールの三人目の総合エースを務めた。昨シーズンはツール・ド・フランスでチーム最高順位の総合7位と健闘したものの、話題先行のトリプルエース体制とチーム内の不和が原因となり、結果を残せなかった。

グランツールの総合優勝経験がないランダに、ニバリの代役は務まらないという声もあるだろうが、今後の成長も含め十分期待される選手である。

ランダに続くエース候補たち

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ニバリ移籍で多額の年俸が浮いたバーレーンは、ランダ以外にも高額オファーを出すことが可能となる。そして、さらなる総合エース候補として移籍市場に挙がっている(今季末で契約が満了する)のが、以下の選手たちだ。

ナイロ・キンタナ(29歳/モビスター/コロンビア)
ダニエル・マーティン(歳/UAEチームエミレーツ/アイルランド)
ワウト・プールス(31歳/チームスカイ/オランダ)
イルヌール・ザカリン(29歳/カチューシャ/ロシア)
エステバン・チャベス(29歳/ミッチェルトンスコット/コロンビア)
エンリク・マス(24歳/ドゥクーニンククイックステップ/スペイン)
ダヴィデ・フォルモロ(26歳/ボーラハンスグローエ/イタリア)
ルイ・メインティス(27歳/ディメンションデータ/南アフリカ)
ヤコブ・フルサング(34歳/アスタナ/デンマーク)

しかし、ランダ移籍によりキンタナのモビスター残留は濃厚となり、ザカリンとメインティスもそれぞれのチームが手放なさないと言われている。チャベスも移籍するとすれば、オリカ時代の恩師ニール・ステファンス率いるUAEエミレーツの可能性が高く、バーレーン入りはなさそうだ。

狙うべきはプールス、マス、マーティン

*ここからは私見(というか願望)。

この中でバーレーンにとって有望銘柄となり得るのが、ワウト・プールス、エンリク・マス、ダニエル・マーティンの三人だ。

チームスカイのグランツールでは欠かせない山岳アシストのワウト・プールスだが、一昨年末に巻き起こったフルームのサルブタモール問題の際には、ジャーナリストがゲラント・トーマスを差し置いてツールのエース候補に挙げるなど、専門家たちによる評価は非常に高い。フルームが総合優勝した2017年ブエルタではアシストながら総合6位と、三週間戦える能力は証明済みだ。…ていうか個人的にエースで走るプールスが見たい。すごく見たい。

ダニエル・マーティンは2018年にクイックステップからUAEエミレーツに移籍し、ようやく万全の体制でグランツール総合優勝を狙えるのかと思いきや、チームは総合順位とスプリントとのダブル体制だったため、フルサポートを受けることがまたしても難しかった。しかしバーレーンにくれば、総合順位に絞ったチーム編成のもと力を存分に発揮できるはずだ。いい加減マーティンに幸あれ!

この中で各チームから評価が高いのがエンリク・マスだ。昨季ブエルタで総合二位に入った弱冠24歳のクライマーは、その評価を今季に上げており、直近のフレッシュ・ワロンヌでも優勝したアラフィリップの最終発射台として活躍している。市場価値が高騰した選手を判断よく移籍させ、チームの上限予算を上手く保つことで知られているドゥクーニンクのルフェーブルGMが、マスを早々と手放すことも想像に難くない。

実力、知名度ともに超一流のニバリを失うも資金力豊富なバーレーン・メリダが、今季の移籍市場で主役になることは、間違いないだろう。

Source: CyclingNews, CyclingWeekley