”配慮の男”ローハン・デニスによる神インタビュー(ある意味)

コメントのコース取りの完璧。

2019年ツール・ド・フランス第12ステージ。総合エースへとステップアップするため、ニバリのアシストとして大会に参加したローハン・デニス(オーストラリア/29歳)は、レース序盤から積極的にアタックをみせていたのにも関わらず、残り84km過ぎで突然のバイクから降りてしまう。

デニスに怪我などはなく、その翌日が勝利が期待される個人タイムトライアルだったこともあり、ステージ勝利したサイモン・イェーツ以上の話題を集めることとなった。

しかし「TTバイクへの不満」や「チームとの不和」など様々な情報が錯綜するなか、不可解なことにチームは記者会見はおろか、一切のコメントが双方から出されることはなかったのだ。

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それから約二ヶ月後の9月25日、デニスは世界選手権2連覇をかけヨークシャーにロゴを黒く塗り隠したTTバイクとともに現れた。

「オーストラリア自転車協会が、この(限られた)期間では、BMCが僕の身体の形に最も合っていると考えたんだ。」

昨年オーストリア・インスブルックでの世界選手権個人TTと全く同じセッティングのバイクに乗ったデニスは、ヨークシャーのテクニカルな54kmの難コースを2位のエヴェネプールに1分以上をつける大差で見事二連覇を果たした。

ツールの途中棄権が想像以上の反響を生んだことでSNSと距離をとったデニスだったが、妻のSNSにまで多くのメッセージが届くほどの騒動になったことで、精神的に追い込まれたと言う。

「ここのスタート地点に立って勝つために、バイクの上ではないメンタルトレーニングをたくさん行った。(大切なのは)身体だけじゃないってことを思い出させてくれた。」

メリダではなくBMCのTTバイクを選択したのはあくまでもオーストラリアナショナルチームの判断と繰り返すデニスだが、今回の黒塗りBMCが「ツール途中棄権の理由がメリダのTTバイクにある」ことを図らずも証明する形になってしまった。

そして所属チームとの関係を聞かれたデニスは、こう答えた。

「バーレーン・メリダについて、また彼ら(チーム)がこの結果をどう思っているかについては話せない。でも僕はこの結果が嬉しいし、正直に言えば、キャリア最大の勝利だ。」

デニスによる今回の勝利は、結果的にメリダのアンチ・プロモーション、そしてBMCにとっては最高の宣伝になった。(なおバーレーン・メリダは所属選手デニスが勝利したのにも関わらず祝福など一切のコメントを出していない)

バーレーン・メリダと2020年末まで契約を残しているデニスだが、世界選手権2連覇を果たし、グランツール上位を狙うステージレーサーとしての未来もある彼を、欲しがるチームは少なくないはずだ。