現役中のドーピングを認めた元アクアブルー・スポートのシュテファン・デニフル(32歳/オーストリア)が、母国オーストリアでの裁判にて「ドーピングしなければ契約を得られなかっただろう」と発言した。
2017年ブエルタ第17ステージで勝利を上げたデニフルは、2014-18年に自己輸血ドーピング(あらかじめ採取した自己血を競技前に輸血することで一時的に心肺能力を高め)をしてレースに出場し、スポンサーやレース主催者を欺いた罪で訴えられている。
そして今回デニフルの発言以上に注目されたのが、その裁判で同選手の弁護士による「自転車界では90%がドーピングしている。スーパークリーン(清廉潔白)な選手はいない」という発言だ。
デニフルは自己輸血という紛れもないドーピング違反を犯し、それを認めているため擁護は一切できないものの、先の「90%がドーパー」発言は、見方によればあながち的外れでないかもしれない。
そう思わせるだけの事態が、ここ数年プロトン内で巻き起こっている。
ケトンで揺れるドーピングの定義
今年1月下旬にオランダのアンチドーピング機構(NADB)は、同国籍のユンボ・ヴィスマのケトン使用に対し「不快である」とコメントした。
ケトン体とは、2018年ツールの頃から度々話題になっているもので、脂肪と糖に続く第3のエネルギー源と呼ばれるケトンを錠剤で摂取することで、脂肪を分解してエネルギーに変えやすい状態(ケトーシス)にする方法。
昨シーズンの2019年ツールでは「プロトンの7割以上が使っている」と言われたサプリメントなのだ。
いまはグレー。今後は?
ケトンは、ユンボ・ヴィスマが昨季2019年ツールで正式に使用を認めており、その他でもチームスカイ(当時)をはじめ、ドゥクーニンク・クイックステップやロット・スーダルが使用している。
もちろん現在のところ世界アンチ・ドーピング機関(WADA)はケトンを認めているものの(栄養補助食品に分類している)、オランダのアンチドーピング機構は今年になって「グレーな領域のものである」と表明した。
その理由としては、ケトンに関して未だ健康に対する影響などが明らかになっていないことが挙げられ、そのためチームサンウェブなど複数のチームは不使用を公に表明している。
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デニフルの弁護士が何をもって「プロトンの9割はドーパー」と言ったのか定かでないが、年々変わるレギュレーションのなか、ドーピングの明確な基準を設けることは簡単ではない。
そして今年になってドーピングを取り締まる立場であるはずのUCIが、ドーピングの取り締まりを怠っているという事態が起こった。
そもそもUCIがドーピング取り締まる気なし?
2月5-9日にフランスで行われたステージレースのエトワール・ド・ベセージュ(2.1)にて、ドーピング検査が一切行われなかったと、EFプロサイクリング所属のマグナス・コルト・ニールセン(デンマーク/27歳)が自身のインスタで「(ドーピング検査がなかったことは)正しくない」と異議を唱えた。
I really don’t know what to say about this… but hey, good thing @UCI_cycling and @DLappartient are focused and ready to spend €1M on making sure @veloncc isn’t ruining everything good about cycling. 🙄… Maybe, instead, focus on some real issues, UCI?? pic.twitter.com/kPXXJJcadE
— Jonathan Vaughters (@Vaughters) February 10, 2020
今年で50周年を迎えるこのレースはカテゴリが2.1(Jプロツアーと同等)で、EFプロサイクリングの他にワールドチームが6(合計7チーム)が出場している。それにもかかわらずUCIはドーピング検査をおこわなかったのだ。
これにはEFプロサイクリングGMであるジョナサン・ヴォーターズも、コルトニールセンのインスタを引用してUCIとラパルティアン会長を批判している。
2013年にランス・アームストロングが自身のドーピング行為を認めたことで、長きに渡るEPO時代に一応のピリオドが打たれた自転車ロードレース界だったが、依然として競技におけるドーピングの影は濃い。
その為にも競技者、チーム、レース主催者、そしてそれを取り仕切るUCIなどが徹底して過去のイメージの払拭に取り組まなければならないのだが、、、いらんこと言うなや。