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ミッチェルトン・スコットの躍進を支える監督マット・ホワイトが語る選手の掌握術

ミッチェルトン・スコットの勢いが止まらない。

101回ジロ・デ・イタリアの第1ステージのそれまで課題とされていた個人TTで、サイモン・イェーツが首位と20秒差の7 位につけ、第6ステージでは逃げに乗ったチャベスと、残り1.5km地点からメイン集団を飛び出したイェーツがワン・ツー・フィニッシュ。また第9ステージでは総合首位の証であるマリア・ローザを身に纏ったイェーツがステージ勝利を飾った。その結果ミッチェルトン・スコットは総合順位で1位、2位を獲得、休養日明けの第10ステージでチャベスが25分を失い総合争いからは脱落したものの、翌日の第11ステージでサイモン・イェーツが2勝目をあげた。

元々ミッチェルトン・スコットはステージ勝利を狙うチームだったが、チャベスやイェーツ兄弟の台頭から、2017年にはティンコフからクロイツィゲル(32歳/チェコ)2018年の今季はスカイからニエベ(33歳/スペイン)を補強し、総合順位を争うチームへと変化していった。

このチームの快進撃を、2011年の立ち上げ(当時はグリーンエッジ・サイクリング)からスポーツ・ディレクターとして支えてきたマット・ホワイト(44歳/オーストラリア)が、個性豊かなミッチェルトンの選手たちへの接し方について、2017年のインタビューで語っていたので翻訳した。

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ーー君は現役時代、チャベスやイェーツ兄弟のように、山岳で勝負するような選手ではなかった。(現在はスポーツディレクターとして)他チームと戦術やレース運びは、どこで学んだのだろうか?レースを走っていて自然と身についたのかな?

マット・ホワイト(ミッチェルトン・スコットSD):

「色んな経験の組み合わせだよ。確かに僕自身は山岳で総合勢争いをするタイプの選手ではなかった。だから、自転車ロードレース界の大スターたちと一緒に走った現役最後の数年間の経験が生きているのだと思う。*ホワイトはUSポスタル現役時代,ランス・アームストロングとチームメイトだった。

チームの中で僕は全ての選手を繋ぐ役割だった。そういう経験が良いスポーツ・ディレクターになる秘訣だと思うんだ。ただ、戦術という点では、サイモンとアダムでは欲しがる情報の種類や、レース運び、レースへの準備する方法も全然違っている。双子なのにね。もちろんエスティバンも彼らとは異っている。だから状況を読み、最適な方法でそれぞれにあったスイッチの押し方をしてあげられるかがとても重要なんだ。

また、他チームのライバル選手を知っておかなければならない。こちらの仕掛けに対して、モビスターがどう動くか、スカイが山岳をどう挑んでくるか。それらを熟知し、選手に対して「スカイはこう動いてくる。モビスターだと恐らくこう動いてくるから、これに注意してうちはこう動いた方がいい」という指示をするんだ。

僕は選手に対して「いまだ!仕掛けろ!」とアタックを指示することは滅多にない。ただ情報を伝えるだけ。レース中は僕の方が(チームカーで)テレビ中継で、選手が見逃していることを把握している場合があるから、他チームの動きを予測できる。だから、選手は僕の伝える情報を信頼して動いてくれるんだ。

僕は彼らほど才能があった訳でもないし、彼らが置かれている(総合争い)の経験もない。でも僕はこの自転車ロードレースの世界に長くいる。つまり僕が何かを指示する場合は、必ず裏付けがあるんだ。それが選手との信頼関係を築ける理由だと思う」

ーーーーー✂ーーーーー ・インタビュー音声はコチラから↓

ーーーーー✂ーーーーー 〜おまけ〜 【チャベスとイェーツがワン・ツー・フィニッシュを決めた第6ステージ後のインタビュー】

ーーあれは最初から作戦通りの動きだったの? 全然!全く違う!作戦なんかじゃない。笑 ーーラスト1kmで二人に無線でなんて声をかけたの? 何にも!何も言っていない。彼らが今後の計画を把握し、行動したまでだ。 ーーーーー✂ーーーーー