カヴェンデッシュが実践する「レゴ」を使った動的瞑想

2021年、古巣ドゥクーニンク・クイックステップへの復帰を果たしたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス/35歳)。

咋シーズン終盤には現役引退をほのめかすなど、その動向が心配されていたツールの現役最多勝記録を持つスプリンターは、エディ・メルクスの34勝を更新すべく今年も走る。

そんなカヴェンディッシュがインタビューでストレスの解消方法を聞かれ、長年行うレゴ・ブロックを使ったリラックス方法について語った。

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夢中にさせるレゴの魅力

「とても古臭く退屈な答えに聞こえるかもしれないが、幼い時からいままで続けている(リラックス方法)はレゴだ。取り憑かれているかと思うぐらいに夢中なんだ」

35歳になったイギリス屈指のスプリンターが好んで行うのは、意外にもプラスチック製のブロック玩具だと言う。

「優勝した2009年のミラノ〜サンレモのあと、ティレーノ〜アドリアティコを控え4日間の休養を取らなければならなかった。朝バイクに乗ったあと、身体を休める以外は何もしてはいけなかったんだ。だからおもちゃ屋さんに行きレゴを買ってきた。それをしながら4日間を過ごしたんだ」

指先を使う知育玩具としても知られるレゴだが、何がそんなにもカヴェンディッシュを魅了させるのだろうか。

「タスク(明確な目標)がないという点がいいんじゃないかな。(ゴールがない点で言えば)最近は絵も好んで描いている。最初は棒切れさえも上手く描けなかったのだが、Youtubeでチュートリアルを見て、今は楽しめるほどまで上達したよ」

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レゴと瞑想の共通点

レースや練習で疲れた身体を休めるために、なぜレゴだったのだろうか。カヴェンディッシュはその理由を瞑想との共通点にあるのだと指摘する。

「レゴの良い点は、座っているひたすら没頭できるところにある。瞑想しているのと脳の状態は似ているんじゃないかな。自分を無意識な状態に置くことができるんだ」

「誰かが頭に思い描き作り上げた完成図が、分解された状態で目の前に広がっている。それを一から組み上げるんだ。それがやる人を興奮させる。組み上げる方向性が提示され、ある形を目指すのがいいんだ」

部屋で没頭できるものならば、多くの選手が好むTVゲームなどではだめなのだろうか。この疑問に対して、カヴはこう説明する。

「若い頃、実は熱心なゲーマーだったんだ。いまも少しはやるのだが、世の親ならわかってくれると思うけど、子どもがいるとなかなか難しいだろ?正直、ゲームが恋しい時もあるが、いま考えるとゲームはエネルギーを消耗しすぎてしまう。だからリラックスするには向いていないんだ」

ステージ4勝を挙げた2016年のツール以来、勝利から遠ざかっているカヴェンディッシュ。6年振りに復帰する古巣クイックステップで、現役を続ける原動力とも語るツール35勝目を目指す。