伸び悩む宇都宮ブリッツェンがバズる為にすべきたった一つの方法

宇都宮ブリッツェンがYoutubeチャンネル「ブリッツェンチャンネル」を開始しておよそ2年が経過し、2020年3月現在までに22本の動画が公開されている。

「宇都宮を日本一に」をスローガンとする地域密着型プロチームであるブリッツェンは、日本のチームの中でも特に発信に力を入れており、Twitterのフォロワーも1.3万人と日本籍コンチネンタルチームの中ではトップをいく。

またレース会場に行けばブリツェンの応援団は馴染みの光景となったいま、より多くのファンに訴求したいチームにとってYoutubeは最適なプラットフォームになる。

しかし、再生回こそ企画によって伸びているもののチャンネル登録者数は2840人(4月8日現在)と、チームの知名度に比べあまりにも寂しいのが現状だ。

ブリツェンチャンネルが今後Youtubeでバズる為には、何が必要なのだろうか?

Youtuberの真似事は求めてない

そのヒントとなる動画をすでにブリツェンは作年5月に公開している。

それが2019年月の宇都宮クリテリウムでブリッツェンの小野寺玲選手が2連覇を果たしたレースのレビュー動画だ。

優勝した小野寺選手(ハンドル下)と阿部嵩之選手(サドル下)のバイクに取り付けられたカメラが、白熱するレースの様子を映し出している。

また編集も丁寧にされており、相当なファンでない限り難しい選手識別も、名前の吹き出しによって幅広く楽しめる内容になっている。

特に小野寺選手が最終コーナーから発射する瞬間などは鳥肌が立つほどの臨場感で、現在1.6万回再生と最も観られている人気動画だ。

ファンが満足できるレース中継がない日本国内のレースにおいて、この動画はブリツェン以外のファンや、レースに興味ないホビーレーサーにとっても魅力的なコンテンツになっている。

だが、上記の宇都宮クリテリウムの動画だけでファンが満足し、バズるほど拡散がされるかというと、疑問が残る。

そこでヒントとなるのが、アメリカのあるアマチュアチームが行っている取り組みだ。

ヘルメットにカメラを付けろ!

 
 
 
 
 
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ジャスティン・ウィリアムスは、30歳のアメリカ人選手。

別府史之が所属したレディオシャックの育成チームで、テイラー・フィニーやアレックス・ダウセットらと共に欧州レースで走り、その後アメリカに戻ってコンチネンタルチームに所属後、弟のコリーの為に自らのチーム(アマチュア)を作った。

それが「L39ion of Los Angeles」だ。

↓は、アマチュアチームであるL39ionがコンチネンタルチームと同じレースに出場し、ジャスティンが見事勝利した時の映像だ。

まずブリッツェンのレース動画との違いは、カメラの位置にある。

ブリッツェンがハンドル下とサドル下につけているのに比べ、ウィリアムス兄弟はヘルメットの上に取り付けている。

そのため多少のブレてしまうものの、カメラが二人の目線になっているため、位置取りや最後のスプリント時に何を見ているかが、臨場感と情報量を高めている。特にライバルチームのプロ選手から肩で押されるシーンは、VeloのGoPro映像でもなかなか見ることができない貴重な一瞬だ(7:27〜)

増田選手の「自分の映像見ながら解説」聞きたくない?

そして、ウィリアムス兄弟の動画の最大の特徴はレースを走った二人よる解説(副音声)だ。

レース開始と同時にメンバー構成や戦術、このレースが自分たちにとってどういった位置づけなのかを、彼らのチームを追っていない視聴者にとっても分かりやすく解説している。

特に最後のスプリントの解説は、ライバルチームのミスや理不尽な斜行に文句をつけながらも、複雑にみえる勝負の魅力を十二分に引き出している。

こういったレースの見せ方とわかり易さにこだわった工夫が、アメリカのアマチュアチームであるにも関わらず公開される動画がコンスタントに約3万回の再生される理由であり、チームのエースである弟コリー・ウィリアムスのインスタのフォロワーが5.4万人もいる理由だ。*目立たった成績がないにも関わらず!

アマチュアチームのbuzzに学べること

まとめよう。宇都宮ブリツェンがより多くの人に動画を届ける為にいますぐするべき方法は以下の3点だ。

→ レース動画をひたすらアップ

Youtubeに限らずあらゆるもののブランディングの基本として「専門性」は必要不可欠。言い換えれば「〇〇と言えば△△」という状態を、ユーザに定着させられるかが成功の可否になる。

例えば、いま読んでいるこのブログの名前がわからなくても「ランスのツールレビューが読めるブログ」という認識はあるはずだ。

つまり、SNSやシクロワイアード等の記事を通して「宇都宮ブリッツェンの選手が勝った」と知ったファンが、そのレース動画をブリッツェンチャンネルで待ってくれる習慣を作ることが、動画の再生回数とチャンネル登録者につながるのだ。*選手のトレーニングルーティン動画は人気は出るけど作れる数に限界があるからね。

→ ヘルメットにカメラをつける

もちろん頭を守るヘルメットに突起物のカメラを取り付けるレギュレーション的な課題や、空気抵抗に関する選手の懸念、公開にあたる権利関係などクリアする問題はあるかもしれない。

だが、今後レース動画をアップしていく上で、ハンドル下(サドル下)とヘルメットに取り付けた映像の圧倒的な情報量の差を感じてくるはずだ。ブリッツェンの広報さんはね。

→ 選手自身が反省点や改善点を副音声で語る

ファンが求めているのは臨場感あるレース映像であることは前述した通り。また、それはツール・ド・ランカウイのドキュメントの再生回数が2,000回にも満たないことからも明らかだ。

↑は、増田選手のUCIポイント獲得の為に挑む選手の意気込みが直前のミーティングを通して伝わってくる良質な動画なのだが、残念ながらブリッツェンのガチファン勢にしか(にも?)届いていない。なぜなら今年2月のランカウイでブリッツェンの成績自体が非常にマイナーな情報だからだ。

それならば、エースの増田選手自身がランカウイのレース映像を見ながら語った方が、よほど選手の思いや意気込みがファンに伝わり、それがレース動画の価値を変え、選手の反省をもファンと共有することができるのだ。それ最高じゃね?

カッコよさが、人を集める

欧州から遠く離れたアメリカの、しかもアマチュアチームから競技の改革を目論むジャスティン・ウィリアムスは、現在の自転車ロードレース界の問題点をこう語る。

「自転車界にはトレーニングや結果に集中し過ぎるがゆえに、それ以外の(プロとして見せ方に気を使う)時間を無くしてしまうカルチャーがあるように感じる」

自転車界において何が『カッコいい』とされているか知ってる?それは「カッコつけない」ことなんだ

チームや選手、レースの見せ方にイノベーションが足りないと語るジャスティスは、そういった前世代的な現在の自転車界の文化(美学)を、真っ向から否定する。

(自転車界の)人たちは『自転車競技に人を集めるためには何が必要なんだろうか?』という話をするんだ。それにはクール(カッコいい)が、必要だ。

 

 
 
 
 
 
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