「今日のMVPはクウィアトコウスキーだ!」ランス・アームストロングによる2018年ツール第10st評

「休息日明けのレースでは何かが起こる」という格言とは裏腹に、第10ステージはスカイのコントロールにより総合勢にとっては平和なステージとなった。そんな中で勝利したのは、逃げに乗ったクイックステップのジュリアン・アラフィリップ(26歳/フランス)。山岳賞をグッと引き寄せる見事な走りにより、今季のツールで初めてフランスに勝利をもたらせた。

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ランス・アームストロング:今日は、昨日に引き続きジョージ・ヒンカピーと、ディラン・ケイシー(ランスとUSポスタル時代の元チームメイトでその後当時無名のGoogleに転職した元選手)に来てもらっている。

ーー最初に言っておかなければいけないことは、昨日の放送で話題に上げたトムス・スクインシュ(27歳/トレック)のモータードーピング疑惑についてだね。

ランス:俺が間違っていた。そしてジョージが正しかった。スクインシュは自分で後輪を回していた。だが、今日のステージがクソ退屈になるという予想は見事的中したな。

ヒンカピー:総合勢にとっては回復するステージになったね。

ーー君はあの選手(スクインシュ)のことを良く知っているんでしょ?

ヒンカピー:ああ。彼は素晴らしい人間性を持っている。僕のチームに二年間所属していた。ツアー・オブ・カリフォルニアでリーダージャージも着用した、良い選手だよ。

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ランス:今日はスカイがハイテンポで引いていたせいで、本当に眠くなるレースだったな…。

ーー選手たちは休息日明けとはいえ、石畳の第9ステージの疲れが残っていたんだろうね。ジョージ、選手たちが石畳の疲れが抜けるまで、大体どのくらいかかるんだっけ?

ヒンカピー:約10日ほどだろうな。そのぐらいでやっと普通な体調に戻れる。他のどのレースよりも回復に時間がかかるんだ。

ランス:そうだよな。どれだけダメージを受けるか、俺は知ってるぞ。(ランスはルーベ未経験)

ディラン・ケイシー:ホントだよね。

ランス:待てディラン!お前にルーベ後の辛さが分かるワケないだろう?

ディラン:バカやろう!俺はルーベは二回走ってる!

ランス:ホントか?!

ディラン:本当だ!クソなこと言ってないで黙ってろランス!

ランス:マジで?!昨日ディランとディナーに行ったのだが、そこにいた若い男が「ケイシーさんは何回ツール走ったことあるんですか?」って聞いてきたんだ。俺はその質問があまりにもいたたまれなくて…(ケイシーはグランツール未出場)

ディラン:ランス、本気で黙ってろ。それより本題に戻らないか?



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ーーステージはアラフィリップ(26歳/フランス)が勝利したワケだけど、ツールで逃げに乗って勝利するとは、選手のキャリアの中でどういう価値があるんだい?

ランス:分からないな。Wikiいわく俺は、ツールで1勝もしていないのだからな。ジョージなら分かるだろ?ステージを勝っているし。

ヒンカピー:…実は僕もWiki的に言えば、勝っていないことになっているはずだ。

ランス:おっと。じゃあここにいるだれもコメントできないな。

ディラン:…。

ヒンカピー:フランス人のアラフィリップにとって、ツールでの1勝は大きいはずだよ。

ーーアラフィリップはフランス人なのに、みんな彼のこと好きだよね?まるで彼がフランス人ではないみたいに…

ランス:いまフランス人で一番優秀な選手だ。

ヒンカピー:ブライアン・ホルム(クイックステップ監督)に電話してアラフィリップのことを詳しく聞いてみる?

ランス:いいなそれ。電話しよう。あっ、ジョージ俺の老眼鏡貸そうか?(前回の放送中に老眼鏡デビューしたジョージ・ヒンカピー)

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ヒンカピー:ホルムを軽く紹介すると、彼はHTCの時の僕の監督で、いまはクイックステップで指揮を取っている。彼は面白くてクールで、昔ながらのオールドスタイルな監督なんだ。自転車ロードレースの歴史上最も優秀だと思ってる。…ピポパ

ブライアン・ホルム:もしもし?僕の声こえてる?

ヒンカピー:聞こえてるよ。勝利おめでとう。

ブライアン・ホルム:誰かが、今日の勝利がチームとして今季50勝目だと教えてくれたんだ。

一同:ワーオ!

ヒンカピー:アラフィリップのニックネームはなんだったっけ?この前教えてくれたやつ。

ブライアン・ホルム:ルルだ。

ヒンカピー:どんな選手なの?

ブライアン・ホルム:ルルは楽しいやつだ。音楽が好きで、逆立ちして歩くし、ドラムも上手いし、歌も歌える。パーティーには欠かせないよ。

ランス:ヤツはホントにフランス人なのか?

ブライアン・ホルム:たぶんホントにフランス出身だと思う。たぶんね。

ヒンカピー:よかった。ホントにおめでとう!あとでまた連絡するよ。



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ランス:そろそろ今日のMVPを発表しようか?

俺はミカル・クウィアトコウスキーだ。

ちなみに、この選手を見出したのはヨハン・ブリュイネール(ランスが現役時代の監督)なんだ。ヤツが「こいつは将来、世界王者になる」と言った選手なんだ。ちなみにヨハンは、ボブ・ユンゲルス(25歳/ルクセンブルグ)に対しても同じ評価をしている。

クウィアトコウスキーの何が好きかって、トレインを引く仕事を終えた瞬間、ピタッと止まるんだ。まるで自転車を駐車したみたいにな。そして先頭集団から1分遅れでフィニッシュするようなことはしない。大体が10分後とかなんだ。つまり、力を出し切ったあと、私欲を捨て明日のステージの為にと蓄えてゴールするんだ。すごいだろ?間違いなく今日のMVPだ。

ーージョージのMVPは?

ヒンカピー:マイヨ・ジョーヌを着用して逃げに乗ったGVAだ。あんなのツールで観たことないだろ?

彼は2015年の米国リッチモンドでの世界選手権が行われる3日前に、僕の自宅に来たことがあって、僕の息子とサッカーをしていたんだ。優勝候補が3日前という大事な期間にだよ?

「何をしているんだ?」って聞いたら、実は彼はベルギーのトップ10にも入るようなジュニアのサッカー選手だったんだ。18歳の時に自転車一本に集中したらしい。

ーーディラン、君のMVPは?

ディラン:マルクス・ブルクハルト(35歳/ボーラ)かな。彼の大ファンなんだ。

ランス:お前、ちゃんと今日のレース観てたか?

ディラン:じゃあアラフィリップだけど…

ランス:ヤツは逆立ちして歩けるんだぞ?

ディラン:でも今さら僕がアラフィリップを挙げても面白くないだろうし…。サガンのスプリットポイント獲得にブルクハルトも貢献していると思うし…

ランス:こいつは、…まったく。また明日!

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・一部を抜粋し、回を重ねるごとに意訳の割合が増えながらも訳した音源はコチラ↓

・ランスの盟友ジョージ・ヒンカピーとケイシーもチラッと登場していないはずのランス自伝はコチラ↓

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