休息日明けの第11ステージはロット・スーダル所属のカレブ・ユアン(オーストラリア/24歳)が嬉しいツール初勝利を上げた。
ハグに嫉妬
所属していたミッチェルトン・スコットで昨年は、ツール開幕一週間前に選考外となる苦い経験を乗り越えたユアンだったが、これで弱冠25歳にして全グランツールでステージ勝利を上げたこととなった。
ランスはユアンのスプリントを「カヴェンディッシュの進化版」と称賛しながら、注目はフィニッシュ後の光景にあった。
ランス・アームストロング:通常、勝者は同じチームの選手から祝福とハグをされるが、他チームの選手からもハグされる選手はあまり見たことがない。今日(ユアン)は異なる2チームの選手から祝福されていた。そんなシーン滅多に見ないよな。
ジョージ・ヒンカピー:プロトンでも人の良い選手なんだろうね。
ランス:君もたくさんハグされるんだろうな。俺は誰からもされないけど。
ヒンカピー:そう?
ランス:ああ。ましてや他チームの選手からなんてあるわけがない。
ーーTシャツでも作る?
ランス:そうだな「ランス、ハグ募集中」ってな。
今と昔の違い
「スプリントステージ=語ること全然ない=質問コーナーの時間が沢山」…ということで、今回はランスとヒンカピーの現役時代と現在の自転車界で異なる(進化した)点とは何か、という質問に答えた。
ランス:カレブ・ユアンは今日スキンスーツで勝利を上げた。
ヒンカピー:みんなスキンスーツを着てるよね。
ランス:例えば2002年のロードレースでスキンスーツで走っていたら、プロトンの中の笑い者だったろう。(当時は)タイムトライアルで着るものだったからな。
ヒンカピー:アンドリュー・ハンプストン(元USポスタル)がスキンスーツを着ていたけど、みんな「あいつは何をしてるんだ?」って感じだった。でもいまはみんな着ているし、空力を良くするためには何だってしている。風の入るヘルメットから空気抵抗の少ないものにレース途中にも関わらず変えるぐらいだからね。それによる5〜10ワットの差が1位と2位の差に繋がる。
ランス:今日ユアンはタイヤ差、おそらく2インチ(約5センチ)で勝ったからな。
僕ですどーも。
また変化という意味で、この番組でも何回か話題に上がっているリカバリーについても語られた。なぜならランスとヒンカピーの時代こそが休息を重視するようになった最初の世代だからだ。
ランス:俺たちはクールダウンをしていなかった。限界値を出す山頂フィニッシュの後も、スプリントステージであっても総合勢は限界を越える。なのに昔は終わったらバスに直行して、その日はそのまま終わりだった。クールダウンせずにな。
ヒンカピー:最新の研究結果によると、クールダウンはマッサージの100倍(回復の)効果があると言われている。とにかくクールダウンは重要ということだ。現在は全てのチームがやっているし、それがチームスタッフの新しい仕事になっている。どこでクールダウンさせるか、選手が勝利したらどこでするか、マイヨ・ジョーヌを着た選手のメディア対応とどう両立させるかなどだ。
ランス:ところで一番初めにクールダウンを始めたやつを知っているか?
ヒンカピー:誰?
ランス:どーも。
ヒンカピー:君?
ランス:どーも。
ヒンカピー:覚えていないね。
ランス:どーも、2009年。
ヒンカピー:その時は同じチームじゃなかったから覚えてないね。
ランス:まぁそうだよな。
ヒンカピー:君はたしかロシアのどっかのチームにいたでしょ?
ランス:そうそう。