英語Cycling系Podcastまとめ

先日、自転車RRハードコア系ブログ「りんぐすらいど」のポッドキャストにゲストで呼んでもらった際に、自転車界のポッドキャスト事情について話させてもらった。

特に英語圏のポッドキャストは番組の数が豊富で、Cyclingと検索するだけで玉石混交さまざまなチャンネルが現れ、しのぎを削りあっている。

そんな中でもメジャーな英語Cycling系Podcastを紹介したい。

もっとざっくばらんに知りたい場合は、ポッドキャストでも語っているので聴いてほしい(1:10:15〜)。

ジャーナリスト・ポッドキャスト

The Cycling Podcast

ザ・王道。

イギリス人ジャーナリスト3人による、レースレビューや最新ニュースについて詳細に伝える番組。

スポンサーが途切れない鬼の営業力により、昔の出来事を取り上げた特別エピソード(フェスティナ事件等)や女子レース専門エピソードなども配信しており、その企画の豊富さも魅力の一つだ。

ただ、イギリス英語が苦手な我々日本人には少し辛いかもしれず、ひたすら聴き込んで慣れるしかない。

また英語学習者にとってありがたいことに、Youtubeでも配信しているため、自動字幕機能(英語は日本語の10倍以上質が高い)が使える。聞き取れない単語もこれがあれば調べることができるのだ!

あとおこの番組を聴いてるとちょっと賢くなった気持ちになるから不思議だ。

https://www.youtube.com/channel/UCAv6ZRQYeVOeHVcg_tfRhXA/featured

VeloNews Podcasts

痛快!

アメリカの自転車ロードレースメディアVeloNewsが運営する番組。編集長のFrederick Dreierと、欧州在住のAndrew Hoodを中心に配信している。

配信頻度も高く、レース関連以外にも最新トレーニング理論や栄養学、最新テック情報なども幅広く網羅している。

もちろん全員がアメリカ英語を話すので比較的聴き取りやすく、特に編集長の痛快なコメントはネガティブな報道を吹き飛ばすを持っている。

https://www.velonews.com/tag/podcast

CyclingTips Podcast

オジーがダラダラ喋る。

オーストラリア発のCyclingTipsが、週一回程度配信している番組。その時期のホットな話題をダラダラっと話すスタイルで、オジー発音が心地いい。ただ、たまにまだどこにも出ていないようなスキャンダルをぶっ込んでくるので油断できない。

オーストラリアへTDU観戦に行く人、ワーキングホリデーを考えてる人は、豪州英語に慣れるのに最適な教材なのかもしれない。

https://cyclingtips.libsyn.com/

The Cycling News Podcast

やる気のなさが逆にいい。

言わずと知れた英語自転車Webメディアの最大手もポッドキャスト番組を運営している。しかし本家CNと同様に…クセがすごい。あと話しているジャーナリスト達がそんなポッドキャストに乗り気じゃない。ただやらされている感が、情報を得るためには丁度よかったりもする。CNの読み上げ機能(オーディオブック)みたいな番組だ。

https://cyclingnews.podbean.com/

ここまでがジャーナリストが語るポッドキャスト。次に紹介したいのは、引退した選手が語る番組たちを紹介したい。

引退選手によるポッドキャスト

THE MOVE

プロトンの王が殴り込み。

幻の7連覇者ランス・アームストロングが2017年にはじめたポッドキャスト番組。昨年ツールの3週間で約1億円を稼いだという、Cycling系ポッドキャストの中でもダントツの知名度を誇っている。

基本的にツールのステージレビューしか行わないが、ランスが現役時代の監督であるヨハン・ブリュイネールが行うジロ・ブエルタ毎ステージレビューも、精度の高い展開予測が好評だ。

アメリカ英語かつ、言い切るランスのスタイルは非常に聞きやすく、自転車ファンの英語学習者にとってこれ以上の教材はないのではないだろうか。

また、これもツールレビューに限ってはYoutube配信を行っている。つまり字幕機能が使える!

https://www.youtube.com/channel/UCtsqiJ1WTJkoj4c_SZkyBMg

The Bradley Wiggins Show

ウェルオーガナイズド(高品質)。

2012年ツール王者のブラッド・ウィギンスがユーロスポーツで行う番組。ランスを強烈に意識してはじまったため、当初はウィギンスが毒舌キャラに挑戦して迷走気味だったが、最近はトーンも落ち着き方向性も定まってきた。

それよりも準レギュラーの元GCNマット(マシュー)・ステファンズの喋りが異次元過ぎて、出演回は完全に番組を乗っ取られている。

https://video.eurosport.co.uk/cycling/video-channel/the-bradley-wiggins-show/

Stanley Street Social Podcast

ドメスティックがたまらない。

前述の2つに比べ知名度は劣るが、オーストラリア人の元プロ選手の二人がオーストラリア人選手を中心にインタビューするこの番組も個人的にオススメだ。欧州人中心のプロトンで豪州人の立場が語られる貴重な番組になっている。

https://omny.fm/shows/stanley-street-social-podcast

最後は、いまのトレンドとなりつつある現役選手によるポッドキャストだ。

現役選手によるポッドキャスト

Watts Occurring

神回多し。

2019年ツール期間中に突如として始まった2018年ツール王者のゲラント・トーマスと、チームメイトで同じウェールズ人ルーラーのルーク・ロウによる番組。

「ジャーナリストは全員これ聴けばよくない?」という名言からはじまり、ローハン・デニスの「5に執着する生活」、フルームの「子猫を保護した話」など神回が多数と定期的に話題になっている。

個人的には、作年ツール第19ステージでアラフィリップがマイヨ・ジョーヌを失うキッカケを作ったイネオスのプールスに寄せられたフランス人からの罵倒コメントを、トーマスがGoogle翻訳して読み上げる回が一番好きだ。

https://podcasts.apple.com/gb/podcast/watts-occurring/id1472946465

Life in The Peloton!

スペック高すぎ。

2016年に開始した自転車ポッドキャスト界では古参になるEF所属のミッチェル・ドッカーによるポッドキャスト番組。ちなみにオーストラリア発音。最近は前述したThe Cycling Podcastでも特別インタビュー・コンテンツを発信しており、高い評価を得ている。

…みたいなのだが、りんぐすらいどポッドキャストでも話したように、ドッカーが優秀&いい人すぎてジャーナリストによるインタビューと何も変わらないクオリティになってしまっている。つまり、選手の本音がそんなに出てこない。

https://lifeinthepeloton.com/

ジャーナリストでは選手の本音を引き出せない…のかも。

りんぐすらいどでも語ったが、自転車界は現役選手が現役選手にインタビュー(会話)するコンテンツが熱い。その先駆けだったと個人的に思っているのが、The Cycling Podcast内で特別エピソードとして配信されたアダム・ブライス(当時ロット・スーダル/昨季引退)だ。

Adam Blythe Interviews Thomas De Gendt (The Cycling Podcast)

インタビューには似つかわしくない言葉使いで、ときにはお酒を飲みながらの会話は、非常にリラックスした雰囲気を作り、ジャーナリストのインタビューでは引き出せない本音が次々と発せられる。

アダム・ブライスについてはこちらでも話している(1:31:00〜)

それを日本語で行っているのが、選手権個人TTで3度王者になった西薗良太元選手による「Side by Side Radio」だろう。特に今季NTT入りした入部正太朗選手の2時間を越すインタビューは、テキストメディアでは引き出すことが難しい彼の物語が情緒的に語られていた。

特に英語と比べ言語的に行間の多い日本語において、またワールドツアーで活躍する選手と比べインタビュー慣れしていない日本人選手の本音や物語を紹介する場として、元選手による音声メディアはこれ以上ないプラットフォームなのかもしれない。

今後、シクロワイアードや産経デジタルのCyclist、サイクルスポーツやBiCYCLE CLUBなどのメディアが、比較的安価ではじめられるポッドキャストに進出する未来が、容易に想像できる。