自転車ロードレース専門ポッドキャスト番組『The Cycling Podcast』の内容を、一部抜粋し、会話の順序を入れ替え翻訳しました。
https://itunes.apple.com/jp/podcast/97-the-press-conference-part-3a-tour-de-france-2018/id665713706?i=1000417092817&mt=2
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リチャード・モーラ(英国人ジャーナリスト):今日はリスナーから質問が来ている。ちょっと聴いてみよう。
リスナー:ハイ!コロンビア人のファンだ!
僕が自転車ロードレースの好きなことの一つに多様性があるんだ。ちっちゃい選手も大きな選手も同じレースで戦える。
これって素晴らしいことだよね?
だけど、最近はフルーム(186cm/68kg)やデュムラン(186cm/71kg)など、同じような体型をした選手しか勝っていないような気がするだ。大きくて、筋肉がある身体つきだ。
僕はもっとイェーツ兄弟や、僕らのキンタナにチャンスがあるスポーツになってほしいと思っている。でも、いまのツールのコースはそんなレイアウトになっていない。これについて、どう思う?
リチャード:良い質問だね。そして良い議論だ。自転車ロードレースの良い所は、204cmのコナー・ダンと、164cmのチャベスのような選手が一緒に走れることだと思う。
Foto tradicional: El ciclista más alto y el más bajo de la Cadel Evans Road Race, Conor Dunne (Gran Bretaña) y Esteban Chaves (Colombia) 🚵🇨🇴 pic.twitter.com/f8lFAMuu6v
— Ciclismo Colombiano (@ColCiclismo) 2017年1月29日
リチャード:だけど、今ツールのトップ4を見てみると、確かに登れて、タイムトライアル力に優れている選手たちばかりだ。小さなピュア・クライマーはいない。
2018年ツールのトップ4 | 身長/体重 |
1.ゲラント・トーマス | 183cm/71kg |
2.トム・デュムラン | 186cm/71kg |
3.クリス・フルーム | 186cm/68kg |
4.プリモシュ・ログリッチ | 177cm/65kg |
フランシス・トマゾー(フランス人ジャーナリスト):
その通りなんだ。僕は自転車ロードレースに非常に長い間関わっているのだけど、
●ファウスト・コッピ(ツール:1949,1952年)
●ジャック・アンクティル(ツール:1957,1961-1964年)
●ミゲル・インデュライン(ツール:1991-1995年ツール)
●ブラッドリー・ウィギンス(ツール:2012年)
●トム・デュムラン(ジロ:2017年)
と言った選手たちが…
リチャード:これタイムトライアルに強い選手でしょ?
フランシス:いや違う。ツールを総合優勝する選手はいつの時代も同じなんだ。良いトラック選手で、パシュートが速くて、タイムトライアルが抜群に速い。そういった選手が山岳を登る為に減量する。それがここ60~70年で起こっていることなんだ。
トム・デュムランもクリス・フルームも体型的には例外でない。これはコッピの時代(1950年代)からずっと変わっていないんだ。ツールで総合優勝する選手のタイプというのは、自転車ロードレースにグランツールというレースが確立して以降、変わっていないんだ。
リチャード:小さな選手も総合優勝はしているだろ?
フランシス:確かにピュアクライマーもツールで勝っている。
●ルシアン・バンインプ(1976年)
●フェデリコ・バーモンテス(1959年)
●マルコ・パンターニ(1998年)
など、だ。
だが、その時のツールにはタイムトライアルがなく、山岳ばかりのツールだった。またブエルタはツールに比べ山岳ステージが多いから、キンタナにはツールより有利かもしれない。
しかし、ツールは長年に渡って、特定の体型に有利になっている。この傾向は変わっていない。
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デュムラン:186cm /トーマス:183cm / フルーム:186cm
リチャード:その意見には同意するが、近年の選手の総合系は痩せ型が多くなってきている。逆にスプリンターは筋肉隆々の選手が増えている傾向があるよね?
フランシス:そうだね。たしかにベルナール・イノー(5勝)やエディ・メルクス(5勝)、ミゲル・インドゥライン(5勝)といったツールを複数回、勝利している選手と比べると、いまの総合系の選手は細身だ。
これはトレンドだね。クライマーしかり、タイムトライアルの選手しかり。スプリンターにもその傾向は見られる。カヴェンディッシュや最近でいうとカレブ・ユアンとかかな。
リチャード:興味深いのは、ではなぜ毎年ツールが始まる前に、ロメン・バルデや、キンタナなどを優勝候補として挙げるのだろうか?
フランシス:それは、先ほど挙げたルシアン・バンインプ、フェデリコ・バーモンテス、マルコ・パンターニと言った選手(ピュアクライマー)が優勝してきたからだろう。
しかし、彼らはツールを一回しか勝っていない。必ずこういった選手が活躍できる年はあるんだ。ゲラント・トーマスも今年は自分のような選手にもチャンスがあるコースの年だったと言っていたが、正直、ゲラント・トーマスはイノーやメルクスに近いだろうね。
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この『The Cycling Podcast』が今年一冊の本になった↓