シヴァコフに狂わされたゲラント・トーマス

8月29日に開幕する2020年ツール・ド・フランス。

イネオス・グレナディアスの出場メンバーに選ばれたなかったゲラント・トーマス(ウェールズ/34歳)の不調について、The Cycling Podcast でジャーナリストのリオネル・バーニーが内部情報を語った。

「ゲラント・トーマスは常に安定して、期待通りの走りを見せてくれる選手だ。先週チームイネオスのコーチと話したのだが、彼いわく(中断期間から)レース復帰する直前に(トレーニングで)追い込み過ぎてしまったらしい」

これについてはトーマス自身もクリテリウム・ドゥ・ドーフィネで同様の内容を語っている。

トーマスの驚異となったある若手選手

しかしゲラント・トーマスの不調の裏には、ある若手選手の存在があったとジャーナリストは説明する。

「チームが再び合流し選手たちが共に練習を行った際、絶好調のパヴェル・シヴァコフを見たトーマスは神経質になってしまったらしい。そこで更に自分を追い込む練習をしてしまったんだ」

パヴェル・シヴァコフとはイネオス期待の若手クライマー。

188cmという恵まれた体型と、ツール出場経験もある自転車選手だった父親と、ロシア選手権の女子ロードレースで優勝経験のある母親の間に生まれたサラブレッドだ。

ベルナルと同い年のシヴァコフは今年のツールで今季バーレーン・マクラーレンに移籍したワウト・プールスの代役(最終山岳アシスト)を任されており、ランス・アームストロングの参謀ヨハン・ブリュイネールも今ツールのダークホースに挙げている。

ツール前哨戦のドーフィネでも好調を見せたシヴァコフ。インタビューではトーマスとは対照的にレース再開前に十分な休息を取っていたと語っている。

シヴァコフと言えば380Wを82分という破壊的な数値も話題になった。

不調、あるいは下り坂

「ゲラント・トーマスは(不調というよりも)根を詰め過ぎただけなのかもしれない。だからツールが近すぎただけで、休息を取ればジロで本来のパフォーマンスを発揮できるかもしれない」

昨年ツールで2位になったゲラント・トーマスは今年、ウェールズ人初となるジロ総合優勝を目指す。