創設2年で解散してしまったアクアブルースポートに何が起こっていたのか

オーストラリアの自転車ロードレースメディア「CyclingTips」がポッドキャストにて、アクアブルースポート解散について語っていたので、一部抜粋して翻訳しました。実際は3人による放送なのですが、複雑になるので2人の会話になるよう編集しました。

ーーーーーーーーーーーーーー

JN:アクアブルースポート。

今年で二年目のアイルランド籍のプロコンチームで、2017年ブエルタでステージ勝利したチームが、今週の月曜日に解散を発表した。

チームのマネジメント担当は、主要レースへの招待がないことが理由の一つと言っている。もちろん、ヴェランダスウィレムス・クレラン(ベルギー籍のUCIプロコンチーム  / 以下:ヴェランダスウィレムス)の買収が上手くいかなかったこともその一つだろう。ベルギーのスター選手ワウト・ファンアールト(23歳)がいるチームだ。*正しくは運営会社であるスナイパー・サイクリング

チームは昨年、(解散が相次ぐ自転車界に一石を投じるため)持続性をテーマに創設された。アクアブルースポートという同名のオンライン自転車用品販売サイトの利益によってね。しかし、公言していたようにはならず、そもそも創設時に最低でも4年はチーム存続を保証すると言っていたのに…結局2年で解散になってしまった。

Embed from Getty Images

Caley:彼らには大きな目標があったよね。

JN:ああ。彼らは、ワールドツアーに出場して、ツール・ド・フランスに出場して、その他も様々な目標を掲げていたが…すべてがダメになった。

たしかに、彼らは良いスタートを切っていた。ラリー・ワーバス(28歳)がツール・ド・スイスでステージ勝利したり、その数週間後には、アメリカ選手権ロードで優勝した。その後ブエルタの出場権を獲得し、オーストリア人のステファン・デニフル(30歳)がステージを取った。

ただ、今年はどのグランツールにも招待されず、奇妙なマネジメントの問題が発生した。

*アメリカ選手権ロード王者であったラリー・ワーバスがいたのにも関わらず、ツアー・オブ・カリフォルニア(2.UWT)への招待がなかった。

JN:そしてスナイパー・サイクリング騒動が起こった。みんな覚えていると思うけど、(アクアブルースポートと)ヴェランダスウィレムスの合併がプレスリリースされたのだが、その数時間後にそれは事実ではないと取り下げた。

そんな契約は存在しないとね。あれはなんだったんだ??

Caley:あれは腹がたった発表だったよね。その後、アクアブルーのオーナーであるリック・デラニーがツイッターで「フェイクニュースである」とつぶやいた。しかし、我々メディアには合併のプレスリリースが送くられていたんだ。

これは臭う、臭うよね。たしかにその前から機材スポンサーとのトラブルはあったが、これはマネジメント(経営)的におかしい。運営体制が整っていない。

Embed from Getty Images

合併の騒動があったベルギーのプロコンチームヴェランダスヴィレムス・クレラン

JN:つまり資金的な判断が誤っていたことを認めたんだ。

彼らは販売サイトは継続し、いつかチームを復活させたいと言っている。でもそれは…絶対にありえない。解散したチームが何年か後に復活したことなんてあった?

Caley:うーん。ないね。一年休止して戻ってくるとか…無理だろうね。

JN:そして、9月に予定していたツアー・オブ・ブリテンの出場を取りやめた。そのかわりにイギリスのU23のチームウィギンスが出場する。

Caley:それじゃあ、この問題について深く考察してみようか。解散の発表はツイッターで行われ、チーム関係者にはメールがあったらしいが、今朝僕のメールボックスに匿名のメールが届いたんだ。

その内容は、今回のアクアブルーについて詳細が事細かく書かれていた。機材のことと、ヴェランダスウィレムスとの合併の話が主だった。これは…内容についてはファクトチェックの途中なのでここで取り上げるか迷ったのだけど…

JN:じゃあ、明らかに事実とわかっているところだけ取り上げようか。例えば、チームと選手たちが、与えられた3Tの自転車を良く思っていなかったこと、とかね。

Caley:そうだね。アクアブルースポートは3Tのフレームを使っていた。そしてフロントシングル(フロントリアのギヤが一枚)だった。話では前ギヤが二枚バージョンも準備されていると言っていたが、結局現れなかった。

この自転車の問題としては、チェーンが外れてしまうことだった。これはどうやらフリーハブボディに原因があったようだね。

JN:チェーンだけじゃなく、シートポストに問題を抱えていたようだ。

Caley:ああ。シートポストが割れたり、滑ったりしていたらしい。これは選手から直接聞いた情報だ。それに僕たちは今年のクラシックシーズンに、チームのメカニックに話を聞いている。フロントシングルの難しさについてだ。。まぁその時にシートポストについては話ていなかったけどね。

機材スポンサーについてはこのリークのメールでも詳細に語られていた。興味深いことにね。

普通、機材スポンサーはチームの存続にあまり関係しない。でもこのチームでは重要な要素だったようだね。こんなこと…過去にあったかな?

JN:聞いたことないね。

Embed from Getty Images

プロの自転車ロードレースでは史上初めてフロントシングルでの勝利を上げた3Tストラーダ

Caley:チームはスポンサー(3T)に対して文句を言っているよね。全然新しい機材を提供してくれないって。フリーハブ問題などが発生しているのにも関わらず。

JN:そうらしいね。

Caley:2018年にそれまでのリドレーから3Tに変更した後、3T側が約束していたタイムトライアル用バイクを提供されなかった。だからチームは今季、リドレーのTTバイクを使用せざるを得なかった。そのため、選手たちはツアー・オブ・ブリテンで違う自転車を使用したいと訴えていたらしいね。

*3T代表のジェラード・ヴルメン サーヴェロの共同創設者は、TTバイクの提供に対し「契約に期限は明記していない」と答え、3Tのバイクにチェーンが外れやすい問題も認知していたが、取り立てて対策を打たなかった。

Caley:アクアブルースポートがヴェランダスウィレムスと合併しようとしていた理由には、それもあるんだろうね。つまりチームが一緒になれば機材スポンサーとの契約が白紙にできる。それらはヴェランダスウィレムス側で使っていたものが供給できる。それが目的であったともこのリーク情報では明記している。

*ヴェランダスウィレムス・クレランは8日30日にオランダ籍のプロコンチネンタルチームであるルームポット・ネダーランド・ロテリエとの合併を発表した。

JN:ただ単に機材スポンサーを変更するだけなのに…それってやりすぎというか、普通じゃなくない?

Caley:そうだね。たしかにそうだ。

Caley:(サプライヤーと)どういう契約になっていたのだろうね。

次の移籍先を探す選手たちにとって、この8月下旬は遅すぎるというワケではないが、早くもない。それにメカニックやマッサージャー、スタッフだって大変な状況だ。でも、これはアクアブルーだけの問題じゃなくて、自転車ロードレースというスポーツ全体が抱える課題だとも言うことができると思うんだ。

JN:これで活動が停止してしまうのだろうか?選手やスタッフに2018年末までの給料は支払われるのだろうか?まぁこれにはUCIがその分を負担してくれる制度もあるから大丈夫だとは思うのだけど…

Caley:そうだね。なんとかして選手たちに給料が支払われることを願うよ。

ーーーーーーーーーーーーーー

・翻訳したポッドキャストはコチラ↓

・アクアブルースポートについてはコチラ↓