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世界選手権で見えたフロントシングルという未来

ディスクブレーキの次は、フロントシングルがくる?

トレックに所属する弱冠23歳の新星マッズ・ペデルセン(デンマーク/23歳)が、トレンティンとのスプリント勝利を制し、2019年の世界選手権ロード王者に輝いた。

今シーズンはジロを総合優勝したリチャル・カラパス(24歳)をはじめ、ツールをエガン・ベルナル(22歳)、ブエルタではタデイ・ポガチャル(21歳)が総合3位に入り、欧州選手権個人TTで優勝したレムコ・イヴェネプール(19歳)に、アムステルダムゴールドレースで劇的な勝利を上げたマチュー・ファンデルプール(24歳)など、今後10年の自転車ロードレースの中心になるであろう若手の活躍が目立った。

しかし、次世代に引き継がれるのは選手だけではない。29日の世界選手権ロードでバウケ・モレマ(オランダ/32歳)が乗ったトレックのバイクが、その未来の指針になるかもしれない。

TREK × SRAM = フロントシングル

モレマは総獲得標高3,645mの難コースをトレックのエアロフレーム Trek Madone SLR 9 Disc(コンポーネントはSRAM Red AXS)で出場。

そして注目されたのは前ギヤが一枚しかなかったことだった。

悪天候などもあり残念ながら完走はできなかったものの、多くの選手が前53-39 後ろ11-25などを使うところ、モレマは前52T後ろ10-33のフロントシングルを選択したのだ。

ちなみに同じ世界選手権の男子ジュニアロード(148.1km)で、アメリカ人選手マグナス・シェフィールドがフロントシングルの先駆けである3Tのバイクで3位に輝いている。

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アクアブルースポートが絶やしかけた未来

フロントシングルとは通常2枚ある前ギアが一枚しかないことを言い、フロントのディレーラーがないことでバイクの空力性能が高まり、軽量化も期待できる(重量制限があるプロには関係ないが)。また選手はリアギヤのシフトに集中でき、チェーンが外れにくくなる*などのメリットもある。*諸説あり

昨季にアクアブルースポートが3Tフロントシングルを導入し、同年2月にプロレース初勝利を上げるなど、ディスクブレーキの次にくるゲームチェンジャーと言われ話題になったが、8月に突然の解散。所属していたアダム・ブライス(現ロット・スーダル)が「3Tは良いハンドルバーは作れるが、自転車はひどい」と辛辣に批判するなど、一部からは時期尚早だったなどと言われていた。

しかし、トレック所属のファビオ・フェリーネ(イタリア/29歳)が今季ツールの第1ステージ(平坦)をフロントシングルのMadoneで完走するなど、実戦で継続的に試されていたのだ。

普及の鍵は12速

Cyclistは今回のモレマのフロントシングル使用を自転車の歴史や各コンポーネントメーカーへのインタビューと共に詳細に取り上げた。

そしてフロントシングルの普及の鍵を握る要因を、今年が元年と言われているリア12速、そして13速の普及であり、そうすれば自ずとフロントシングルも次のスタンダードになる、と記事を締めた。

Source: cyclowired