今年のツール・ド・フランスをキッカケに始まった、2012年ツール覇者ブラッドリー・ウィギンスによるポッドキャスト番組『The Bradley Wiggins Show』。
今回のゲストであるアクアブルースポート所属のアダム・ブライス(28歳/イギリス)が、3Tと自身の現状について話していたので、一部を抜粋して翻訳しました。
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ブラッドリー・ウィギンス(以下ウィギンス):
『ブラッドリー・ウィギンス・ショー』へようこそ。今日はゲストが来てくれている。
司会者(以下ーー):
アダム・ブライス。よく来てくれたね。君はアクアブルースポートに所属する選手で、先日チーム解散とシーズン途中の活動休止を発表した。一体何が起きたの?
アダム・ブライス(以下ブライス):
報道に出ていることしか把握してないから、君と知ってることは変わらないよ。オーナーがそう判断して、今シーズンのレースはもうない。それだけさ。(今年の終わりまで)給料は支払うと言っているようだから、そうであることを願うよ。
ーー何がアクアブルースポートの解散へと導いたの?
ブライス:恐らく3Tのバイクだろう。正直に言うとね。彼らは良いハンドルバーは作れるが、自転車は酷い。リアにギヤが一枚しかついていないんだからね。酷い。あれじゃレースなんてできないし…
ウィギンス:なんて素晴らしい宣伝なんだ笑
ーー具体的に何がダメだったの?僕なんかが見ても他と同じに見えるのだけど。
ブライス:まるでトラック競技のバイクにギアがついたようなものだ。チェーンリングが一枚しかないから、登りで38にしたいのに、カセットが10枚しかない。前は52しかないんだから、あれじゃレースはできない。ワンデーレースはもちろん、1週間や2週間なんてのはどうやっても…
*ギヤ比の所が聴きとれず…
ーー自転車で登った瞬間にわかった?これはダメだって?
ブライス:乗った初日で「これはないな」と思ったよ。「これはよいアイディアじゃない」って。でもチームは契約を結んでしまったし、どうすることもできないよね。これでなんとかしなくちゃって。
プロのロードレースで史上初めて導入された(TTは過去にある)フロントギアがシングル(1枚)の3Tストラーダ
ーーいまはどんな気持ち?
ブライス:とりあえず、給料が支払われるか不安だよ。養う家族もいるわけだからね。それが第一だよ。
ーーブラッド、この状況をどう思う?
ウィギンス:これが自転車ロードレースだって感じかな。このスポーツは厳しい状況が続いている。比較的資金規模も小さいし、その調達も難しいよね。いろんなものが高価になっていて、それに伴い選手の給料も上がるべきだろうけど10、20年前と変わっていない。例えばFDJは10年前〜15年前と資金的な変化はないだろう。スカイやカチューシャは別だけどな。
サッカーでいうと、マンチェスター・シティと他の小さなクラブとの資金的な格差は広がっている。僕たちのチーム・ウィギンスやアクアブルーのようなね。難しい。
ブライス:スタッフの数が増えているのも理由の一つだろうね。昔はコーチが二人とかだったのに、いまはパフォーマンス・ディレクターにホイール専門スタッフや…
ウィギンス:理学療法士とかね。
ブライス:どんどん増えている。
ウィギンス:専属のシェフともな。
ーー他のチームスタッフから「うちにこない?」と声はかけられてない?
ブライス:うーん、残念ながら何もないかな。G(ゲラント・トーマス)やフルームのように、大きなレースで結果を残している選手じゃないと、この市場では難しいし、たぶん電話の前で座って待っていても何も起こらないだろうね。
*アダム・ブライスは2016年のイギリス選手権ロードで優勝し、キャリアの7年間をワールドツアーチームで過ごしている。
ーーなにか彼にアドバイスある?
ウィギンス:アドバイスというより、この状況で一番恩恵を受けているのはチームとマネージャーだろうな。チームが解散し、シーズンの終盤に契約のない選手が大量に残っているんだ。彼らのせいじゃないのにな。だから、チームはとても安く選手を選べる。チームやマネージャーが得をし、選手が煽りを食う。どのスポーツでも同じようなことが起こっている。
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・翻訳した動画(該当箇所は冒頭〜)
・3Tストラーダについてのエントリ