「トップチューブに座るな!それとイノーは黙ってろ!」ランス・アームストロングによる2018年ツール第5st評

第5ステージのクラシック級の過酷さを制したのは、2日前の不調が嘘のような走りを見せたペーター・サガン(27歳/ボーラ)。昨年逃したマイヨ・ヴェールをグッと引き寄せる見事な勝利だった。


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ーー今日はスプリントの話から始めよう。辛そうだったね。クネクネした登りで、とにかく長かった。選手のうめき声が聞こえてきそうなぐらいだった。

ランス・アームストロング:レース後のサガンのインタビューを見たか?酷い顔をしていた。

ーー青ざめていたね。

ランス:80歳のホビーレーサーかと思ったよ。こういうステージではそうなるんだよ。サガンはああいうコースが好きだと言っていたが、先頭の残っていた38人の選手たちも全員がギリギリだったろうな。先頭についていけない小さな集団もたくさん出来ていたし。

そして我らがローソン・クラドック(EFエデュケーション/アメリカ)は21分遅れでフィニッシュした。

ーーファイターだね。

ランス:本当にそうだ。

ーーそして一人の選手がスタートすら切れなかったえ。

ランス:体調不良で棄権したが、もし100%の調子だったら、マイケル・マシューズが今日の主役だったろうな。それにトム・デュムランにとっても大きな損失だろう。パリで黄色いジャージを着るために使える選手だったろうし。

ーー朝起きて熱があり、朝食すら取れなかったらしいね。この三週間、体調を維持する難しさについて、君はずっと言っているね。

ランス:そうだ。考えてみてくれ。自転車チームの人間同士の近さを。もし君がここでクシャミしたら2、3日後に俺に感染っているだろう?同じように、全員が一緒の狭いチームバスに乗り、狭いヨーロッパの部屋に泊まり、常に誰かと握手して、ハイファイブして、それに選手は必ずルームメイトがいる。

いままで思い至らなかったが、9人のチームだった時、俺は常に一人部屋だった。だが、8人ということは全員が誰かと同部屋ということになるんだ。もしマシューズの体調が胃の不調によるものだったら、チームメイトに感染らないことを祈る。ダイニングテーブルやバスが危険だな。

ーーそれに、もしステージを勝ったら、その選手は何人もの人に触られるのだろう?

ランス:ああ。めちゃくちゃ触られる。

ーーさらにポディウムで握手して、キスまでされるんだ。免疫が落ちている中で、病気になる可能性は高いってことだね?

ランス:ああ。

ーー体調管理も競技の一部だと?

ランス:そうだ。

話は変わるが、今日のステージを観ていて多くのファンがフランス国旗を振っていたが、同時にブルターニュの旗も同じくらい映っていた。

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ブルターニュは、バスクやカタルーニャほど過激ではないが、テキサスみたいなものだ。テキサスにもし旗があったら、星条旗よりもその旗の方が多く掲げられているだろう。そんな感じで、ブルターニュではこの白と黒の旗が振られるんだ。

ブルターニュということに誇りをもっているからな。ヨーロッパには地方それぞれが独自の言語、方言があるんだ。

ーーグワン・ハデゥーっていう旗らしいね。

ランス:このあとその名前を言うつもりだったのに!

ーーまぁこれは全てリスナーからのメールに書いてあったことなんだけどね。そして、ここがベルナール・イノー(63歳/フランス)の出身地なんでしょ?

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ランス:そうだ。彼はここで生まれ育ち、現役時代もずっと過ごした。5回のツール総合優勝の後に、何年もの間をツール・ド・フランスで働いた。ポディウムで政治家やスポンサーといったVIPの世話をする役割だ。

そしてこのミスター・イノーは、

残念ながら気難しい老害ジジイに成り下がってしまった。

ーー…どういうこと?

数ヶ月前に俺はツイートしたんだ。

「俺も早く歳をとってイノーみたいにクソな事を言いたいな」

ってな。

〜イノーさんの一連の発言まとめ〜
5/30「(ジロ優勝した)フルームは自転車の歴史に相応しくない!そもそもジロに出場するべきですらなかったんだ!」

6/20 「フルームがツールに出場するなら、プロトンはストライキをしてボイコットするべきだ!」

7/1 ツール主催者のASOがクリス・フルームのツール出場を拒否

7/2 UCIがクリス・フルームに対し無実を言い渡す

7/12 「自分の発言に対して後悔?そんなのあるわけないだろう。事実を言ったまでだ」

ーーイノーは何にイライラしてるの?

ランス:すべてだ!全てのことに対して文句を言わないと気が済まないんだろうな。

ーー彼はツールの顔でしょ?

ランス:かつてはな。いまは違う。もう引退させられたよ。

彼は獣のような選手だった。何年か前に、ポディウムに上がってきたおかしなヤツを殴って黙らせたんだ。間違いなく当時のプロトンの主役だった。歴代のどの選手よりもな。

でもいまは…どうしようもないな。ちょっとは冷静になってくれ。

少しは黙っていろ。ブライルスフォードと一緒にバスの中で大人しくしてろ。そして、黙ってろ。

…ふぅ。



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マテイ・モホリッチ(23歳/バーレーン)が2013年U23ロード世界選手権を制した時に実践したのが始まりと言われている「モホリッチ・スタイル」。2016年ツール第8ステージでクリス・フルームが下りで披露し一躍プロトンで下りの定番となった、「スペース・ペダリング」とも言われる。

ーー今日はトップチューブに座った選手が落車していたね。

ランス:俺は何度だって言うぞ。

みんなやっているこのトップチューブの上に座って坂を下る方法だが、

やめろ!

クリス・フルームやサガンがしていようが、関係ない。

即刻やめろ!

聴いてるリスナーに言いたいのだが、もし今週、自分の周りでアレを真似しているやつがいたら、仲間の輪から蹴り出してやれ!

ーー警察が取り締まるべきレベルのことってことだね?

ランス:ゴースト・バスターズみたいになってとっ捕まえて周りたいよ。

俺は本気だぜ?イノーが老害クソ野郎だってことと同じぐらい、俺は本気だ。

 

そして、今日はもう一つどうしても言いたいことがある。

NBC(アメリカ大手放送局)を観ていたらなんと…

あのUSポスタル(アメリカ郵便公社)がツール・ド・フランス中継のスポンサーについていたんだ!

ーー自分の目を疑ったよ。

ランス:そんなことが…そんなことがあって…なんてこった。

自転車ロードレースという競技が、彼らのイメージをどれだけ傷つけたと思うんだ。

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↑あんたのせいや!

ーー最初聞いた時、冗談かと思ったよ。ツール中継でUSポスタルのCMを観た瞬間の君のリアクションがとても気になるのだけど…

ランス:えっと、えー、うーんと…まぁ、そりゃ…わからない。

とにかく言葉が出てこなかった。

ーーいま見ているものが信じられない、とか?

ランス:そんな感じかな。まぁ、そうだな。うん。そうだ。

ーーワォ。

ランス:ワォ。

 

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一部を抜粋し、多少の意訳を加え翻訳した音源はコチラ↓


・ランス・アームストロングのことを知りたい人はコチラ↓

これを発売直後に読んでいた人はまだ、後にツール7連覇して全て剥奪されたと知らなかった、と思って読むと尚おもしろい。

・ランス・アームストロングの暗部を知りたい人はコチラ↓

著者であるハミルトンの言っていることが全て事実ではない(らしい)けど、大体合ってるらしいってのがまた面白い。