出直してこい!
カレブ・ユアン(ロット・スーダル/26歳)がスプリント勝負を制した2020年ツール・ド・フランス第3ステージ。
そのスタート前にユンボ・ヴィズマの総合エースであるプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)が、知識のないジャーナリストからの質問に対し、神対応を見せた。
その様子が収められているのが、この動画だ。
Sam Bennett ? pic.twitter.com/WpCP53K3sr
— La Grosse Boucle (@LaGrosseBoucle) September 2, 2020
マスクとサングラスで誰だか分からないが、サングラスの柄の部分がスロベニア・カラーのであることからログリッチということが分かる。
フランス人と思われる記者は、
「(今日は)君のチームメイトのサム・ベネットの勝利が期待できる2つ目のステージだね。君も少しは彼のために働くつもりなのかい?」
と、質問。
それに対しログリッチは、
「えーっと、ジョージ・ベネットにとって今日の勝利は難しいかな。彼は山が得意だからね。でも(後ろを横切ったドゥクーニンク・クイックステップの選手を指差し)あのチームにいるサム・ベネットならチャンスがあるんじゃないかな笑。きっと勝てると思うよ」
よく分かる解説
一応解説しておくと、今年のツールにはベネットという姓の選手が二人出場している。
一人はユンボ・ヴィズマのクライマーで山岳アシストのサム・ベネット(ニュージーランド/30歳)。直近のグラン・ピエモンテ(1.Pro)で優勝し、イル・ロンバルディア(1.UWT)では惜しくも2位と、今年はキャリアハイに迫る活躍を見せている。
もう一人はドゥクーニンク・クイックステップのエーススプリンターであるサム・ベネット(アイルランド/29歳)。今年ボーラ・ハンスグローエから移籍し、現在最速スプリンターとの呼び声も高いマイヨヴェール候補だ。
このログリッチにインタビューした記者はまず「君のチームメイトのサム・ベネット」といい、ジョージとサムを言い間違ってしまったのだ。
…と動画を観た人は思っただろう。
しかし、その後の言葉でこのジャーナリストが単純に選手のことを何も知らないのが明らかになる。
なぜならそのあとに「勝利が期待できる2つ目のステージだね」と続けたからだ。
通常スプリント勝負が予測される第3ステージのスタート前に、クライマーで山岳アシストであるジョージに関する質問をエースであるログリッチにするわけがない(この記者がニュージーランド人なら分かるが明らかに英語ネイティブではない)。
つまり、そもそもこの記者はサム・ベネットがどこのチームかを把握していないのだ。
またその後に「君も少しは彼のために働くつもりなのかい?」と聞くことから、そもそも質問している相手がログリッチであることが分っていない。
結論として、この記者は何も分っていない笑。
ログリッチの神対応
しかしこの失礼極まりないインタビューに対し、ログリッチは記者の間違いを指摘するのではなく、
「ジョージ・ベネットにとって今日の勝利は難しいかな。彼は山が得意だからね。でも(ドゥクーニンクの選手を指差し)あのチームにいるサム・ベネットならチャンスがあるんじゃないかな。きっと勝てると思うよ」
と、優しく向こうの求める答えを提供したのだ。めっちゃ紳士やん。
これを見たジョージ・ベネットの反応
だが、一方でこの映像を見たジョージ・ベネットはツイッターで、
FFS, hand in your press pass mate https://t.co/eu6kpRzrFJ
— George Bennett? (@georgenbennett) September 2, 2020
「頼むから誰かプレス証を奪い取れ!(意訳)」とコメントし、怒りを顕にした。笑