ガンナの言い分 イネオスの戦術に批判殺到

ガンナに集団牽引の役割を与えたイネオス・グレナディアーズの戦術をめぐり、一部ジャーナリストやファンの間で論争が起こっている。

しかし、レースから一夜明けた21日、ガンナ本人がインスタグラムに「調整不良で本調子ではなかった」と理由を説明した。


Twitterより

《イネオスの作戦は何だ?スプリンターもアタッカーもいないのに、どうしてポッジオで集団を引いているんだ?》

話題を呼んでいるのは、トレック・セガフレードのヤスパー・ストゥイヴェンが劇的な勝利を挙げた21日のミラノ〜サンレモ。

逃げを吸収したメイン集団がチプレッサ(残り21km地点)を下ると、牽引がアシストを使い切ったユンボ・ヴィズマからイネオス・グレナディアーズに変わる。

先頭で引くのはチームキャプテンのルーク・ロウ。しかし最大の勝負所であるポッジオに続く緩い登りで仕事を終えると、次に前を引き始めたのはフィリッポ・ガンナだった。

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そしてガンナは残り7.2km地点で役割を終え、ディラン・ファンバーレに先頭を譲る。

このイネオスの戦術に批判が集まった。

理解に苦しむ戦術だ

この動きに対し、ランス・アームストロングの参謀ヨハン・ブリュイネールはこう疑問を投げかけた。

「目的が全く見えない動きだった。確かにチームには過去大会の優勝者クウィアトコウスキがいたが、数年前のような姿ではない。また、ポッジオで軽量クライマーのピドコックのアタックを考えていたのだろう。しかし、どんな戦術を考えていたのか理解できない」

この時点で集団にはファンデルプール、ファンアールト、アラフィリップの3強に加え、ピュアスプリンターのユアンを含む30人以上が残っていた。

一方、イネオスで控えていたのはピドコックとクウィアトコウスキのみ。

アラフィリップを出し抜くにはポッジオは傾斜が足りず、集団スプリントでユアンやファンデルプール相手に勝ち目はない。

つまり、集団のままポッジオまでたどり着いた時点で、イネオスの勝機はストゥイヴェンのような中距離の単独アタックしかなかったのである。

そして、それが可能な選手はガンナだけだったのだ。

何をしているか分からなかった

ポッジオ(残り5.4km地点)の登りでアラフィリップがアタックするも、ファンアールトやファンデルプールが追いつき、7人で頂上にたどり着く。

下りのコーナーを利用してピドコックが加速するが、レース後のインタビューで「(作戦ではなく)直感に従ったアタックだった。正直自分が何をしているかもよく分かっていなかった」と答えているように、イネオスの計画はポッジオの頂上までだったのだ。

その後、平坦路でお見合いする集団の隙きをついたストゥイヴェンが集団スプリントに追走を許さず一位でフィニッシュ。

結果的にイネオスは、ピドコックの15位が最高位。クウィアトコウスキも集団最後尾の17位に沈んだ。

万全じゃなかった

強力なイネオストレインを見せながら喫した敗北に、多くのファンやジャーナリストがその作戦に疑問を投げかけ、批判した。

しかし、レースから一夜明けた21日。張本人であるフィリッポ・ガンナが自身のインスタグラムを更新し、アシストに徹した理由を明かした。

 

 
 
 
 
 
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Filippo Ganna(@gannafilippo)がシェアした投稿

《ティレーノ~アドリアティコの後、3日間を軽いインフルエンザに罹っていた(PCR検査は陰性だった)。ミラノ〜サンレモでの(戦術的)判断はそれが理由だ。なので、監督になったつもりで「あの時ああすればよかった」などと言って楽しむのは止めて欲しい。次のレースで会おう》

 

尚、レース後にクウィアトコウスキの肋骨骨折が明らかになった。