暴力は絶対にいけない。しかし乱闘騒ぎは…嫌いじゃない。
そんなアンビバレントな感情こそ、ファン心理なのではないだろうか。
チーム同士の戦いでありながら「一つの村」と称されるプロトンにおいて、その秩序を乱し、同時に(ある意味)ファンを楽しませてくれる選手こそが、チームイネオスのジャンニ・モスコン(イタリア/25歳)だ。
そんな悪童が今回やらかしたのは、ベルギーのワンデーレースであるクールネ〜ブリュッセル〜クールネ(1.Pro)の残り70km地点。コート・ド・トリウの丘に向かい急激にコース幅が狭まる区間で、モスコンは落車に巻き込まれる。
Moscon werpt boos andermans fiets in de beek na deze valpartij. De gevolgen zijn zwaar: diskwalificatie pic.twitter.com/QHb3L94RHk
— sporza (@sporza) March 1, 2020
そして落車直後の様子を上空から撮影していた映像には、モスコンが自分の自転車に覆い被さっていた他選手の自転車を、倒れていた選手めがけて放り投げる姿が映っていたのだ。
粋(?)なモスコンの後始末
その後レースに復帰するも、自身の失格処分を知らされたモスコンは、自分を映すカメラを確認後なんと自らゼッケン番号を外し捨てた(しかも2枚目は丁寧に破り捨てている)。
#KBK20 – Moscon reaction to DSQ pic.twitter.com/ygM4us8xnz
— La Flamme Rouge (@laflammerouge16) March 1, 2020
この男、どーしようもねーな。
それでも来季以降は心配ご無用?
2020年で契約が満了するモスコンにとって、この出来事はチームやスポンサーにとってマイナスでしかない。しかし、同選手は平地やグラベル区間はもちろん、山岳の上り始めまで集団を牽くことのできる、プロトン内でも稀有なオールマイティーな選手。
特に2017年からチーム人数が1名減ったグランツールにおいて、このユーティリティ性はこの上なく貴重な存在だ。
事実、昨年不調でジロ・デ・イタリアを回避したモスコンを、イネオスはクライマーのケニー・エリッソンド(現トレック)に変わってツールに半ば強引に選出。
案の定目立った仕事ができなかったものの、イネオスにおけるモスコンの序列と評価の高さを証明した。
そして今季もツールのメンバー入りが有力視されている。
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批判は然るべき…だけど
選手同士の衝突が他プロスポーツと比較して際立って少ない(減ったと言われる)自転車ロードレース界において、こういった暴れ馬の存在は目立ち、もちろん好まれない。
今回被害にあったB&Bホテルズ・ヴィダル・コンセプトのイェンス・デブシェル(ベルギー/30歳)はインタビューに対し、「今回の出来事だけではない。他に(モスコンによる事件は)はもっと沢山起こっている。プロトンの選手たちにモスコンとの関係を聞いてみれば、90%がネガティブな反応を示すだろう」と答えている。
しかし、プロトンはもちろん人間味がなく機械集団と揶揄されるチームイネオスには、この個性と才能を良い方向に伸ばして欲しいのが、個人的な意見だ。
ツールには欠かせない選手となりながらも、2017年の差別発言、2018年の暴力事件と、すでにツーアウト状態のモスコンに対し、天下のイネオスがどのような処遇を科すのかが注目される。